転職エージェントの利用を考えているけれど、多くの転職エージェントからどのように自分に合った企業を選んでいいのか分からない方は多いようです。転職エージェントの活用は自分のキャリアに大きな影響を与えるため、どの転職エージェントを選ぶのかは大切です。
転職エージェントの選び方やうまく活用するコツについて、組織人事コンサルティングSeguros 代表コンサルタントの粟野友樹氏が解説します。
目次
転職エージェントの選び方で大事なこと
転職エージェントを選ぶ際に大事なことは、自分の要望に合ったサポートをしてくれるかどうかです。
相性の良いキャリアアドバイザーと出会えれば、自分の強みや希望を理解し、適切なアドバイスや求人の紹介を通して、スムーズに転職活動を進めることができるでしょう。
転職エージェントの種類と特徴
転職エージェントにはさまざまな種類があります。まずはどのような転職エージェントがあるのか、それぞれどのような特徴があるのかを知っておきましょう。
大手・総合型エージェント
あらゆる業界・職種の求人を網羅的に扱っているのが、総合型の転職エージェントです。多くの場合、複数拠点を持つ大手企業が運営しています。保有している求人数が非常に多いため、複数の求人を紹介してもらえる可能性が高く、選択肢を多く持つことが期待できます。
また、さまざまな業界・職種の転職支援を行っているため、各業界・職種の採用動向や求人の傾向を熟知しているのも、大手・総合型転職エージェントの特徴です。複数の業界・職種の情報提供を受け、比較しながら転職活動を進めたい方にも向いているでしょう。
中小・特化型エージェント
特定の領域に特化した求人を扱っているのが中小・特化型の転職エージェントです。専門的な情報提供や中小規模ならではの柔軟性、フットワークの軽さなどを強みとしており、特定の企業と強いネットワークを持つ転職エージェントもあります。
特化している対象領域としては「業界」「職種」もあれば、業界・職種にかかわらず何らかの属性を得意としている転職エージェントもあります。
業界・職種特化型エージェント
「業界」に特化した転職エージェントとしては、「製造業」「医療」「介護」「IT」「Eコマース」「建設」「美容」「ブライダル」などを強みとする転職エージェントがあります。
「職種」特化型では「エンジニア」「管理部門職(経理・人事・法務など)」「士業(公認会計士・税理士など)」「デザイナー」など、ニーズが高い専門職を得意とする転職エージェントもあります。
属性特化型エージェント
業界・職種にかかわらず、特定の属性の企業や求職者層に特化している転職エージェントもあります。例えば「エリア」「外資系企業」「スタートアップ」「エグゼクティブクラス(役員・CxOなど)」「第二新卒」「フリーター」「女性」「ミドル・シニア」などが挙げられます。
転職エージェントの選び方【転職活動のケース別】
転職活動のケース別に、自分に合った転職エージェントの選び方を解説します。納得できる転職を実現するためにも、参考にしてみましょう。
転職が初めての場合
転職活動が初めてで進め方が分からない方には、大手・総合型エージェントがおすすめです。職務経歴書の書き方や面接対策など、基本的な転職活動のサポートを受けられます。
また、多様な業界・職種を網羅しているので、自分では想定していなかった方向性を提案され、選択肢が広がることもあります。
未経験業界・職種に転職する場合
未経験業界・職種への転職を目指す場合も、幅広い求人を保有する大手・総合型エージェントを活用するのがおすすめです。未経験業界・職種でも、これまでの経験・スキルをできるだけ活かせる求人を提案してもらうことができます。
未経験業界・職種の転職支援実績もあるので、キャリアチェンジの場合のアピール方法についてもアドバイスを受けることができるでしょう。
まだ転職の方向性が決まっていない場合
転職の方向性が決まっていない場合も、さまざまな業界・職種の転職支援実績を持つ大手・総合エージェントに相談するとよいでしょう。キャリアの棚卸しを経て、目指す方向性が明らかになった際、マッチする求人を保有している可能性が高いからです。
キャリアの棚卸しについても、キャリアアドバイザーにサポートしてもらい、強みや志向、転職の目的の整理をすることができます。
目指す業界・職種・属性が明確に決まっている場合
転職先の業界・職種、あるいは希望勤務地などが明確に決まっている場合は、その領域に特化している中小・特化型の転職エージェントから情報を得るとよいでしょう。その業界・職種・属性ならではの応募書類の書き方や、面接対策の具体的なアドバイスを受けることもできます。
とはいえ、中小・特化型だけでは得られる求人情報が不足する可能性もありますので、大手・総合型エージェントも組み合わせて利用することで求人の選択肢をより多く持つことができます。
複数の転職エージェントに話を聞きたい場合
複数の転職エージェントから多角的なアドバイスを受けたい方は、大手・総合型エージェントと中小・特化型エージェントいずれにも相談してみるのがおすすめです。
大手・総合型エージェントは、転職支援実績が豊富なので、データを元にしたアドバイスが得意です。一方で、中小・特化型エージェントは独自のサポートやフットワークの軽さを強みとするケースもあります。
ただし、継続して付き合う転職エージェントが多すぎると、やりとりの負担が大きくなってしまいます。自分の状況や転職活動のペースなどを考えながら相談しましょう。
自分に合った転職エージェントの選び方のポイント
自分の希望に沿ったサポートをしてくれる転職エージェントを、どのように見極めればよいのでしょうか。選ぶときに意識したいポイントをお伝えします。
複数の転職エージェントを活用する
転職エージェントへの相談・登録は、1社だけに絞る必要はありません。転職エージェントによって、サポートの進め方やサービスの特徴は異なります。面談をじっくり行うケースもあれば、レスポンスの速さを重視して連絡はすべてチャットで行うケースもあります。
転職活動開始当初は複数のエージェントを利用してみて、そのなかから自分に合うと判断した転職エージェントを継続して利用するとよいでしょう。
なお、他の転職エージェントも併用していることを、担当キャリアアドバイザーに正直に伝えて構いません。むしろ他の転職エージェントを通じて応募している企業の選考状況を伝えておけば、転職活動のスケジュールを調整してもらえることもあるので安心です。
キャリアアドバイザーとの相性
たとえ同じ転職エージェントでも、キャリアアドバイザーによって重視するポイントやスタイルが異なることもあり、キャリアアドバイザーとの相性も重要です。例えば「気持ちに寄り添ってソフトな対応をする」タイプもいれば、「率直なアドバイスも積極的に行う」タイプもいます。
こうしたコミュニケーションスタイルの観点でも、相性を確認するとよいでしょう。合わないと判断した場合は、担当者の変更を申し出ることも可能です。
取り扱っている求人数を確認する
転職エージェントを選ぶ際、重要なポイントの一つが求人数の多さです。多くの求人を保有する転職エージェントだと、選択肢の幅が広がり、自分に合った求人を見つけやすくなるかもしれません。
特に、特定の転職エージェントでしか取り扱いしていない求人や非公開求人など、一般公開されていない求人を提供する転職エージェントもあります。
力を入れているサポート内容を確認する
転職エージェントによって、得意とするサポート内容が異なります。履歴書添削や面接対策に力を入れているところもあれば、求人数の多さを重視するエージェントもあります。
自分が求めるサポートが何かを明確にし、それに応じた転職エージェントを選ぶことが大切です。面談の時間や回数、面接ごとのサポート体制など、自分にとって必要なサポートを提供しているかどうかを確認しましょう。
転職エージェントを上手に活用するためのコツ
転職エージェントを上手に活用するためのコツをご紹介します。転職を実現させるためにも、転職エージェントの機能やサービスを最大限に活用しましょう。
希望するサポートスタイルを先に伝える
利用を始める段階で、自分が希望するサポートスタイルを伝えるようにしましょう。以下に挙げる例のように「自分は転職エージェントに何をしてもらいたいのか」を伝えます。
「転職活動が初めてなので、基本的なところから丁寧にサポートしてもらいたい」
「中長期的なキャリアプランの相談に乗ってほしい」
「スピード重視で、希望条件にマッチした求人だけを紹介してほしい」
「さまざまな可能性を探りたいので、幅広く求人を紹介してほしい」
もちろん、途中で希望を変えても構いません。「今、自分がどのようなサポートを求めているのか」を明示することで、適切な対応をしてもらえるようになり、やりとりが円滑になります。
経歴や希望などは正直に話す
「この経歴は伏せておこう」あるいは「過去の実績を盛って伝える」など、自身の経歴について事実を伝えないと、キャリアアドバイザーのアドバイスや求人紹介も誤った方向へ向かってしまいます。
キャリアアドバイザーとの面談で隠したことも、応募企業での選考の段階では明らかになりますので、得をすることはありません。適切なサポートを受けて転職を実現させるためには、包み隠さず正直に伝えましょう。希望条件についても、まずは正直に伝えることで、叶う可能性について判断してもらえるかもしれません。
希望条件が変わったら遠慮なく伝える
転職活動を進めていくなかで、目指す方向や希望条件が変わることもあります。ところが「求人紹介が振り出しに戻るので気を悪くするのではないか」などと遠慮して、担当キャリアアドバイザーに言い出せないケースがあります。
しかし、転職活動中に気持ちが変わることは決して珍しいことではありません。遠慮なくキャリアアドバイザーに気持ちを伝えましょう。
自分に合った転職エージェントを探そう
近年、転職エージェントは数も種類も増えています。比較検討し、自分に合う企業やキャリアアドバイザーを見つけることで、納得感が高い転職活動を進められるでしょう。「大手・総合型」であるリクルートエージェントでは、幅広い業界・職種の求人を保有しています。
同業界・同職種への転職はもちろん、これまで培った経験・スキルを異業界・異職種で活かす道も提案できます。豊富な転職サポート実績をベースに、実際の転職事例を踏まえたアドバイスや選択肢を提供することが可能です。
組織人事コンサルティングSeguros 代表コンサルタント 粟野友樹氏
約500名の転職成功を実現してきたキャリアアドバイザー経験と、複数企業での採用人事経験をもとに、個人の転職支援や企業の採用支援コンサルティングを行っている。
記事更新日:2023年04月21日
記事更新日:2023年10月19日
記事更新日:2024年04月18日 リクルートエージェント編集部