営業職と一口に言っても業界や顧客によって、要求される経験、知識、能力は異なりますが、職務経歴書で押さえるべき基本的な項目は共通しています。
自分のキャリアを棚卸しし、希望業界の特質を理解した上で、人事担当者が最も望んでいる情報を具体的に書くことが重要です。
ここでは、営業職全般の職務経歴書の書き方のポイントに加え、代表的な営業職種における書き方をそれぞれ解説をしています。リンクから見本が記入されているフォーマット(Wordファイル)をダウンロードできますので、参考にしながら自分の経歴を記入し職務経歴書を作成してみましょう。
目次
営業の職務経歴書の書き方のポイント
人事担当者の職務経歴書の見方
人事担当者は、「この人はわが社で活躍できそうな経験とスキルを持っているか」という視点で、職務経歴書を見ています。
経験については、何を(=商品やサービス)、どこに(=主要顧客や担当エリア)、どういう手法で(=新規、ルート等)、どれだけ売ったか(=営業実績や表彰等)という項目を抜け漏れなく記載しましょう。
また、それらの活動をいかに工夫して行ったか、いかなる営業戦略の下に進めてきたかを、企画力、提案力、交渉力、コーディネート力、課題解決力など、数字やデータで落とし込みにくい能力をエピソードを交えて伝えていくことも重要なポイントです。
職務要約のポイント
まずは、経歴の概要を3~4行程度にまとめましょう。「自分はどこで何を経験した」という事実情報をわかりやすく伝えるのがポイントです。
職務経歴のポイント
次に、人事担当はより深く応募者のことを知りたいと考えます。以下の項目がわかりやすく伝えられているかを意識して職務経歴を記入しましょう。
- いつからいつまで
- どんな部署で
- どんなことをしてきたか
- その仕事の特徴
仕事への姿勢などをアピール
最後に人事担当者は、応募者が企業方針・社風に合うかを考えます。以下の項目を簡潔な文章にまとめて、担当者に自分の価値観を伝えましょう。
- 自身の強みや補足
- 大事にしている考え
- 目指したい仕事
- 業界や応募先に対する思い
個人向け営業の職務経歴書の書き方
個人向けの営業職は、新規開拓の能力が求められるケースが比較的多いため、アプローチの方法や件数などを強調するといいでしょう。特に、商品と顧客対象の属性がマッチしていることが重要になるため、いかに、そのズレを少なくして効率的な営業をしてきたか、その辺りの戦略まで落とし込むよう工夫します。
ポイント
- 新規開拓の実績を強調することが重要
- 営業スタイルや戦略などの項目を作り、数字では表せない”売り”のポイントをアピール
- 売上などの数字を出す場合は、客観的に判断できる順位や達成率を併記する
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法人向け営業の職務経歴書の書き方
法人向けの営業職は、実績に裏打ちされた提案型営業をいかに行ってきたかが重要視されます。そのためには、企画提案力や課題解決力、さらには縦割り組織の中でキーマンを動かす能力など、数字やデータとして落とし込みにくい能力を、職務経歴書の中でいかにアピールしていけるかがポイントになってきます。
ポイント
- 担当商品、地域、手法、実績など、営業としての基本データを網羅する
- 営業スタイルや営業戦略、企画提案能力を強調する
- 罫線や網掛けを使うなど、ビジュアル面でも映えるような工夫
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メーカー向け営業の職務経歴書の書き方
部材等を販売する、対メーカー向けの営業職に求められる一般的な資質として、企画提案力や、技術者と技術者の間を取り持つコーディネート力などが挙げられます。職務経歴書作成の基本は他の営業職と同様ですが、単に製品を右から左へ流していたというだけでは物足りません。例えば用途開発やカスタマイズなど開発の部分にどれほど携わってきたか、より多く売るためにどのような戦略を立ててきたかなど、具体的なポイントをアピールすることができればベストです。
ポイント
- 経験者が優遇される傾向にあるため、取り扱い商品や顧客名を具体的に
- いかに意識しながら提案型営業をしてきたか、戦略や工夫点を記す
- 売上などの数字は、昨年対比や支店内順位などを併記することで客観性を持たせる
流通向け営業の職務経歴書の書き方見本
店長やバイヤーとのリレーションを深めていく営業手法が大切な業界です。しかし、それ以上に、例えば、消費者やマーケットを意識した上でどのようなアプローチを行ってきたか、どんな戦略や工夫の下で売上増を達成したかといった課題解決力も重要になってきます。
ポイント
- 担当製品や対象顧客などを具体的にすることで営業スタイルを明らかに
- 営業戦略を記入し、企画提案型の人材であることをアピール
- シェアや売り上げの伸び率を強調するために、グラフや表を使う方法も
MRの職務経歴書の職務経歴書の書き方
MRは、たとえばドクターとのやりとりなど、短い時間のなかで内容の濃い情報提供、コミュニケーションをはかっていくことが求められる職種です。採用する企業は、職務経歴書の中にプレゼンテーションのセンスを見ていますので、簡潔かつ効率的な職務経歴書であることが大切です。また、MRの基本業務は採用する側もよく分かっていますから、ルーチンの内容だけをまとめて書いても、いい評価は受けられません。自分が特に工夫してきたこと、社内(部署)で自分だけがやっていたことなどを書いて、仕事への取り組み方、さらに本人の人柄が透けて見える職務経歴書をつくることが大切です。
ポイント
- コンパクトな職務経歴書をつくること(ただし、無理にA4一枚にまとめる必要はまったくない)
- 数値実績は社外の人がみても分かるように、対前年比、社内順位などを入れて
- 差がつきにくいMR業務、自分だけが取り組んでいた事柄は何か、そこが評価の分かれ目になる場合が多い
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医療機器営業の職務経歴書の書き方
医療機器営業の書類選考は、応募者の実績と担当領域がポイントになります。特に、どのような製品を扱ってきたのかについては、漏れなく記載してください。その上で、営業をする際、どのような戦略を持ち、どのような工夫をしてきたのか、自分のスタイルが伝わるようにレジュメ(職務経歴書)を作っていきましょう。学会でのプレゼンテーションやフォローの方法、セールスマーケティングの手法といった記述で優位性のあるレジュメ(職務経歴書)を目指します。
ポイント
- 組織全体で業績をとらえることが多い卸ですが、最低限、自分がいくら売ってきたのかは把握しておきたいところ
- 営業において、自分がこだわったことは何か、どういったことを工夫したかを記しましょう
- 自己PRはプライベートのことは控え目に、業務内容に則したPRを行う
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IT営業(Sier、通信、ハードウェア、ネットワーク)の職務経歴書の書き方
IT業界の営業の場合、業界特化型の募集が多いため、通常の営業職と比較して専門性が求められます。つまり、相手を取り込む能力といった一般的な営業センスと同時に、業界の専門知識や資格などの要素も重要になってきます。職務経歴書には、双方のエッセンスをバランスよく書き込んでおかないと人事の目にとまりません。
ポイント
- 営業センスのアピールとともに、専門性の部分を書く
- 取り扱いプロダクト/製品、提案規模、営業形態(直販/代理店/ハイタッチ)、業績、役割など具体的なデータを
- 営業スタイルや戦略、自己PRなどを付け加え、個性や熱意をアピール
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RM(リテール営業)の職務経歴書の書き方
ファイナンスに関する課題解決の提案を行った上で、「どんなスキルを持っているか」「対象顧客は(中小企業・大手企業など)「売れるRMか」をアピールすることが、金融RMの実力を示す上で、最重要課題となります。具体的には金融商品を使った課題解決手法や、実績や成果を客観的な数値で記すことで、あなたのスペシャリティをPRできます。
ポイント
- 実績や成果を数値化してより具体的に表現する
- 金融商品を使った課題解決手法を明記し、キャリアの幅を伝える
- 身につけた知識、スキルをまとめる
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書くことが少ない場合
職務経験が2~3年しかなかったり、ルーチンワークのみで経歴欄に書く要素が少ない人は、自己PR欄を充実させることで熱意をアピールしましょう。紙面の半分以上を自己PR欄で占めるくらいでも問題ありません。
ポイント
- 自己PR欄を大きく設けて、熱意を具体的にアピール
- 資格や学習内容など、自己啓発の要素を充実させる
- 会社概要などを詳しく書いてスペースを埋める工夫をする