目次
採用代行(RPO)とは
採用代行とは、自社の採用業務の一部またはその多くを外部にアウトソーシングすることを指し、Recruitment Process Outsourcingを略して「RPO」と呼ばれることもあります。
社内の人手不足や働き方改革の一環により残業を削減するという動きがあるなか、アウトソーシングを選択する企業が、著者の周囲でも業種を問わず多くなってきているようです。
厚生労働省の調査によると、9割近くの企業が採用業務についての課題を抱えており、そのなかでも、「思ったような人が採用できていない」(41.6%)、「募集しても応募者が集まらない」(40.1%)といった課題が多くなっています。
そうしたなか、採用活動の強化を目指し、採用方針やプランを見直す有効な手段として、アウトソーシングを選択する企業が増えていると考えられます。
参照:厚生労働省 「採用業務代行サービスの利用に関する実態調査 図表3-2-1 採用業務の課題」
※RPOに関しては、以下の記事をご参照ください
RPO(採用アウトソーシング)とは?メリットや依頼のポイントなど事例も紹介
採用代行(RPO)に依頼できる業務
採用代行の業務内容は多岐に渡ります。採用計画策定から始まり、募集、応募者対応、面接実施、内定者対応など、細分化すればさらに業務が存在することになります。依頼する採用代行業者によって、対応している業務内容や、その対応の仕方が異なります。ここでは業務の一例をご紹介しましょう。
採用計画策定
採用計画が明確になっていればよいですが、初めて本格的な採用活動を行っていくような企業であれば、採用計画の策定が必要になってきます。その際、策定についてもプロの目線から助言してもらうほか、計画の策定自体を依頼することも可能です。
※採用計画に関しては、以下の記事をご参照ください。
失敗しない採用計画の立て方とは?具体的な手順と求める人材を採用するためのコツ
人材の募集
ハローワークへの掲載や求人広告を出すといったことに加えて、昨今ではSNSなどを通じて募集をする手法も採用されています。採用代行業者はさまざまな募集方法のなかから、採用したい人材に対して、適していると思われる募集方法を提案し、実施します。
応募者対応・管理
規模にもよりますが、応募者の対応・管理といった業務は煩雑です。一連の業務を高度に運営するオペレーションスキルが必要であり、オペレーションのレベルが低いことで、採用機会を逃してしまうこともあります。採用代行業者は応募者対応・管理についての高度なノウハウを持っているのが一般的であり、これらの業務を一任することができます。
説明会・面接会の運営
新卒採用について規模が大きな採用活動を行う際に、企業は説明会や面接会を実施するのが一般的でしょう。採用代行業者は契約内容や提供サービスにもよりますが、そうした企業説明会などの運営についても対応してくれる業者もあります。中途採用などの個別案件においても、高い面接スキルを備えた面接官が対応するため、より精度の高い人材の採用が期待できます。
内定者対応・フォロー
採用予定者に対して、内定後に適切なフォローを行わなければ、入社後の不安感などから内定を辞退されてしまう可能性が高まります。採用代行業者は契約内容や提供サービスにもよりますが、こうした内定者対応やフォローについても対応してくれる業者もあります。特に新卒採用の場合などには、定期的な連絡に限らず内定者研修などの実施によって入社日まで対応してくれる採用代行業者もあります。
採用代行(RPO)の費用相場
採用代行の費用については、自社の採用計画(採用人数、職種、募集期間、人材イメージなど)や、依頼する業務内容によって大きく異なり、一概に費用を提示することは困難です。また、依頼する採用代行業者によっても料金設定が異なります。
以下に、採用代行を依頼する際の費用について詳しく解説します。
料金体系による違い
料金体系に関しては、主に「従量課金型」と「固定料金型」とに分けることができます。
「従量課金型」は、サービスの利用頻度に応じて料金が変動する料金体系です。採用代行では、採用予定の人数に対する面接回数などに応じて料金が加算されていきます。また、依頼する内容や量、委託する期間によっても変動しますので、綿密な打ち合わせが必要になるといえます。
「固定料金型」では、採用活動の項目に応じていわゆるパック料金を設定していることも珍しくありません。たとえば「応募者対応●人/月まで」「面接回数●回/月」など、月額制を採用している採用代行業者もあります。
いずれの料金体系においても、自社の採用計画と費用対効果などについて、十分に見極める必要があります。
雇用形態による違い
採用代行に関する費用は、自社の求める人材の雇用形態によっても変わります。雇用形態としては、新卒者か中途採用者か、あるいは正社員、契約社員、アルバイト・パートなどの区別があり、どの雇用形態の従業員を採用したいのかによって費用が変わるのが一般的です。
採用活動にあたっては、このような雇用形態だけでなく、自社が人材に求めるスキルや経験などについても明確にする必要があります。ターゲットとする人材によって募集方法や面接方法なども異なるので、採用代行業者に見解を求めながら、費用対効果を見極めていきましょう。
業務範囲による違い
採用代行業者に任せる業務範囲によっても費用は変わってきます。
たとえば、応募者管理などは自社で行い、面接と評価だけを依頼する場合と、応募者管理などを含めた業務を任せる場合では費用が異なります。適切な範囲の業務を依頼するためにも、自社の採用計画で対応できない業務や、採用代行業者に任せた方が効率がよい業務について、十分に見極めていくことが大切です。
業務内容による料金イメージ例
ここでは、実際の業務内容を基に、著者が関わってきた事例を踏まえた費用の目安をあげていきます。
※料金については、採用規模や人材イメージなど様々なため、以下の目安と異なる場合もあります。
採用計画策定 :10,000円~
※基本料金などに含まれることが多い
募集・媒体管理 :200,000円/月~
応募者管理・対応 :50,000円/月~
説明会運営 :100,000円/回~
面接代行 :10,000円/回~
内定者対応・フォロー:100,000円/月~
※内定者研修実施などは別途料金
これらを一括料金(パック料金)に設定している業者や、業務を切り分けして単体での料金設定をしている業者などさまざまです。自社の課題を明確にして、より効果的な代行サービスの活用を目指しましょう。
採用代行(RPO)を依頼するメリット
ここでは、採用代行を利用することによるメリットについてご紹介していきます。
採用業務にかける時間と人員の削減
採用代行を利用することで、自社の採用業務における時間の削減が見込めます。さらに、削減した分の人員を自社の他の業務に集中できるというメリットがあります。こうしたメリットによって、自社全体の生産性向上が期待できます。
質の高い採用活動が見込める
採用代行は採用のプロが業務を遂行します。人材流動の情報や募集に関する手段、面接スキルなど最善策を用いて確度の高い採用活動が期待できます。そのため、自社の求める人材を獲得するための質の高い採用活動が見込めることになり、結果的に費用対効果を高めることができます。
外部の目線から見る採用課題の抽出
採用業務に限らず、自社の業務についての課題は見つけにくいことがあります。
採用代行を利用することで、自社の業務に外部から目を通すことができ、新たな採用課題に気付くきっかけになることが期待できます。
そうした意味からも、プロの採用代行を利用するということで、自社の業務自体をブラッシュアップしていくことが可能と考えられます。
採用代行(RPO)を依頼するデメリット
上述したように採用代行にはさまざまなメリットがありますが、デメリットもあります。
ここでは、考えられるデメリットについて解説します。
コストがかかる
自社の採用活動を外部にアウトソーシングするので、費用がかかります。さらに、想定外の費用がかかってしまうこともあるかもしれません。自社の他の業務に人員を割くことによって期待されるコスト削減と、採用代行にかかる費用を比較してサービスの利用を検討する必要があります。
社内に採用ノウハウが蓄積されない
採用活動をアウトソーシングするからといって、自社のメンバーがまったく関わらないということはないと思います。しかし、採用業務をアウトソーシングすることで、自社に採用に関するノウハウが蓄積されにくいというデメリットがあります。そのため、自社の採用担当のスキルアップにつながらないといえます。
認識のズレを生む可能性
自社の求める人材のイメージが不明確であれば、採用代行業者との間に認識のズレが生じる可能性があります。こうしたズレによって、採用活動が失敗してしまうこともあるため、求める人材のイメージだけでなく、業務内容の範囲や自社の社風、PRポイントなどについて明確に伝えておくことが重要です。
採用代行(RPO)企業を選ぶ際のポイント
ここでは、採用代行業者を選ぶ際のポイントについて解説します。
「実績」を確認する
採用代行業者を選ぶ際に重要なのは「実績」です。たとえば、同じ「応募者管理業務」といっても、数千人規模の管理が必要な大企業と、百人前後の管理を行う企業とでは、求められる業務が異なってきます。自社が求める採用規模についての実績が多い業者を探し、サービス内容を具体的に比較することが大切です。
どの業界・職種に強いのかを確認する
採用代行業者の「実績」のなかで、その業者が得意とする業界や職種についても考慮する必要があります。たとえば、即戦力となるエンジニアを採用する際、そうしたケースに対応したことがない業者には、その業界に対する知識量が少ないと予想できます。
まずは候補にあがった業者が、それぞれ得意とする業界や職種について把握することが重要です。
レスポンスの早さも重要
質問やリクエストに対するレスポンスの早さも重要な検討ポイントです。レスポンスが遅ければ、応募者や採用内定者への連絡なども滞っている可能性が考えられます。採用代行を依頼する前には、打ち合わせやメールなど頻繁に連絡が交わされます。そのレスポンスの早さについても着目するとよいでしょう。
採用代行(RPO)を依頼する際のポイント
ここでは、採用代行を依頼する際のポイントについて解説します。
採用業務の課題をある程度明確にしておく
採用業務について現時点での課題をある程度明確にしておくと、依頼される採用代行業者がそれに応えられるか否かの判断材料となります。内容によっては難しいと判断する業者も出てくるかもしれません。
費用をしっかり確認しておく
依頼前にある程度のかかる費用を確認しておくようにしましょう。また、料金体系がどういったものなのか、予想の範囲内なのか、自社にとって費用対効果が見込めるものなのか、十分に判断したうえで正式な依頼をしましょう。
採用代行(RPO)を依頼する際の流れ
ここでは、採用代行を依頼する際の流れについて解説します。
初回打ち合わせ
まずは、初回の打ち合わせを行い、自社の採用についての課題などを共有する必要があります。また、自社が採用したい人材要件についても明確にしておくとよいでしょう。依頼したい業務に対して、採用代行業者が対応できるか否かの確認も必要になります。
初回の打ち合わせの時間を有意義なものにするためにも、これらの確認項目について社内で検討し、共有しておくとよいでしょう。
採用計画の共有
採用代行業者への依頼にあたっては、採用計画を密に共有していくことが大事です。認識のズレが発生しないよう、自社のリクエストを伝えていくことが重要です。
自社の業務と依頼する業務を明確にする
採用代行を依頼する際、自社で担当する業務と採用代行業者が担当する業務を明確にすることが大切です。費用の問題もありますが、明確に業務が分担されていないと、対応漏れが起こる可能性があります。こうした対応漏れが発生すると、結果的に自社の評判が落ちるリスクがあるため注意が必要です。
見積・予算などの確認
担当業務を明確にしたあとは、見積を十分に確認するようにしましょう。料金体系にもよりますが、予定外の費用が発生する場合もあるため、余裕を持った予算組みをお勧めします。
運用スタート
採用計画や予算・費用が固まったら運用がスタートします。自社としては、計画の進捗や問題点、そのほかイレギュラーに対して情報をしっかり共有してもらうことが重要です。運用スタートしたあとも定期的な打ち合わせを行い、適切に採用活動が実施されているか確認しましょう。
採用代行(RPO)は、昨今の人手不足や働き方改革による残業削減などを受けて、注目が高まりつつあるサービスです。採用活動をプロに任せることにより、効率的に質の高い人材の採用を見込むことができ、自社の人員をコア業務へ集中させることができます。
リクルートエージェントの採用代行は多くの採用実績があるため、採用代行の利用を検討されている方は詳細について一度確認してみてもよいでしょう。
自社の採用業務課題を明確にして、効率的かつ効果的な採用活動を目指していきましょう。