目次
人材募集を成功させる12の方法一覧
本章では、人材募集を成功させる12の方法を一覧にまとめました。
※下記表から興味のある募集方法を選択すると、解説へと遷移します。
人材募集の12の方法
募集方法 | 特徴 |
人材紹介 | 人材紹介会社に、自社の採用ターゲットに近い人材を紹介してもらう募集方法。 |
求人媒体(Web媒体) | 求人媒体に求人情報を掲載し、応募者を集める募集方法。 |
ダイレクト・ソーシング(ダイレクトリクルーティング) | 人材データベースなどから採用候補者を探し、候補者に対して、スカウトなどを用いて自社の魅力を直接訴求する募集方法。 |
人材派遣 | 人材派遣会社に、自社の求める人材に近い登録者を派遣してもらう募集方法。 |
自社ホームページ、採用ページ(採用サイト) | 自社のホームページや採用ページに企業情報や求人情報を掲載して、応募を待つ募集方法。 |
SNS(ソーシャルリクルーティング) | SNSを採用に活用する募集方法。 |
検索エンジン | 求人情報専門の検索エンジンを利用する募集方法。 |
採用イベント | 転職イベントに参画、もしくは採用イベントを開催し、イベントに訪れた求職者に対して直接自社の魅力を伝え、採用につなげる募集方法。 |
求人チラシ・ポスティング | 求人チラシやポスターを作成し、店内に掲示したり、店頭で配ったりして求人情報の認知を広め応募を募る募集方法。 |
リファラル | 在籍する従業員から知人や友人を紹介してもらう募集方法。 |
タレントプール | 自社が今まで接点を持った求職者の中から、その時必要な人材に再アプローチして採用につなげる募集方法。 |
ハローワーク | ハローワークに自社の求人情報を公開する募集方法。 |
募集方法1:人材紹介
厚生労働大臣の認可を受けて職業紹介を行っている民間の「転職エージェント」と呼ばれる人材紹介会社に、自社が求める人材の職種・スキルなどを伝えた上で、要件にマッチする人材を紹介してもらう求人手法です。紹介者を採用した場合に料金が発生する成功報酬型が多く、相場は採用した人材の年収の35%前後が一般的です。
メリット
- 初期投資が不要である
- 日程調整など候補者とのやりとりをサポートしてくれるため、求める人材に効率的に会うことができる
注意点
- 年収の高い人ほど、採用コストも高くなる
このようなケースにおすすめ
- 工数をかけず効率的に採用したい
- 求める経験やスキルが高い人材を採用したい
- 非公開で採用活動を行いたい
利用の流れ
人材紹介を利用する際の一般的な流れは、下記の通りです。
- ターゲットの設定
- 人材紹介会社の選定
- 人材紹介会社に問い合わせる
- 担当者に募集要項を伝える
- 人材紹介会社から紹介を受ける
- 選考
- 採否の結果を通知する
- 紹介者から内定承諾を受ける
- 入社
すぐに対象となる求職者が見つかり、順調に内定まで進めば2週間前後で人材を採用できるケースもあります。しかし、募集要項に該当する人材が見つからない場合や選考途中で辞退が発生した場合は、人材を採用できるまで長い期間を要することもあるでしょう。
利用時のポイント
人材紹介には、「一般・登録型」「サーチ型」「再就職支援型」の3つの種類があります。
- 一般・登録型:人材紹介会社に登録している求職者の中から自社の募集要項にマッチする人材を紹介してもらうサービス。
- サーチ型:人材紹介会社やヘッドハンター独自の人脈網を活用し、募集要項にマッチする人材を探し出し、採用に至るまで支援してくれるサービス。
- 再就職支援型:事業縮小や人員整理時など会社都合で退職を余儀なくされた求職者の中から自社にマッチする人材を紹介してもらうサービス。一般的に費用は、求職者が以前勤務していた企業が負担します。
比較的社会人経験の浅い層や即戦力を求めているのであれば、多くの求職者が利用している一般・登録型がおすすめです。転職市場にあまり登場しない、エグゼクティブクラスや専門性に長けた人材を採用する場合は、サーチ型の利用を検討しましょう。ただし一般・登録型と比較して費用が割高になる傾向があり、ターゲットによっては人材が見つからない、採用が長期化するケースもあります。
採用費を抑えたい場合は、再就職支援型の利用を検討しましょう。ただし、会社都合で退職を余儀なくされた求職者が対象になるため、紹介を受けられる人材がやや限定的になってしまう可能性もあります。
人材紹介に関しては、以下の記事をご参照ください。
募集方法2:求人媒体(Web媒体)
求人媒体に求人情報を掲載し、応募者を集める求人手法です。就業条件のほか、企業の強みや魅力、仕事の面白さなど多くの情報を発信できるほか、写真や動画などを掲示できる場合、視覚的に会社の雰囲気も伝えられます。求職者もスマホやパソコンで時間や場所を問わず検索でき、24時間応募することも可能です。多くの求職者にアプローチできます。
メリット
- 場所や時間を問わず、多くの求職者にアプローチできる
- 検索機能を利用してより求める要件にマッチした求職者に情報を届けられる
注意点
- 採用できなくても広告掲載料としてコストが発生する(一部成功報酬型を導入している媒体もある)
このようなケースにおすすめ
- 同時期に複数人を採用したいより多くの登録者に求人を見てもらいたい
利用の流れ
求人媒体を利用する際の一般的な流れは、次の通りです。
- ターゲットの設定
- 求人媒体の選定
- 求人広告会社や求人媒体サービスに問い合わせる
- 打ち合わせ
- サービスプランの決定
- 求人原稿の作成(取材を含む場合あり)
- 求人情報掲載開始
- 求職者からの応募を待つ
- 選考
- 内定
- 入社
上記は一例となるため、詳細は申し込み先の求人広告会社や求人媒体サービスに確認しておきましょう。なお、求人媒体への掲載開始までにかかる期間は、おおよそ2週間~1ヶ月程度が目安です。
利用時のポイント
求人媒体には、職種やポジションを問わない総合型と女性や比較的社会人経験の浅い若年層、職種・業種など特定の領域に特化した専門型(特化型)の2種に大別されます。幅広い人材と接触を図りたい場合は総合型、採用したい職種や人物像が限定されている場合は専門型(特化型)のように使い分けるのも1つの方法です。
また、料金形態も広告掲載に対して料金が発生する広告掲載型(応募や採用がゼロの場合でも料金が発生)と、応募や採用に対して費用が発生する成功報酬型があります。自社の知名度や過去の採用実績などから、高いコストパフォーマンスを期待できるサービスを選択しましょう。
なお、掲載時期や申し込みタイミングによっては上位表示や掲載期間延長などの特典が付くこともあるため、申し込み前に担当者に確認してみるのも良いでしょう。
求人媒体(Web媒体)に関しては、以下の記事をご参照ください。
募集方法3:ダイレクト・ソーシング(ダイレクトリクルーティング)
企業が人材会社などに登録されている求職者情報に直接アクセスし、データベースの中から採用候補者を探します。そして人材の経歴などに合わせて仕事内容や自社の魅力を伝えるスカウトメールを送信し、採用へつなげる採用手法です。
メリット
- 求人媒体や人材紹介に登録していない人材に出会える可能性がある
- 効率的に活用した場合、コストを抑えられる
注意点
- レジュメの確認、スカウトメールの送信など工数がかかる
このようなケースにおすすめ
- 採用難易度の高い人材を採用したい
- 自社で採用ノウハウを蓄積したい
利用の流れ
ダイレクト・ソーシングを利用する際の一般的な流れは、下記の通りです。
- ターゲットの設定
- 利用サービスの選定
- 問い合わせ
- 打ち合わせ
- サービス契約
- システム導入・初期設定
- スカウト文の作成
- データベース(媒体)からスカウト対象を抽出する
- スカウトメール送付
- 返信があった際には面談や面接日程などの調整を行う
- 選考
- 内定
- 入社
サービスの問い合わせから運用開始までは、3週間~1ヶ月前後を目安にしましょう。早急に運用を開始したい場合は、利用するサービスの担当者に運用開始までの期間を確認しておきましょう。
利用時のポイント
ダイレクト・ソーシングは、従来の求人媒体や人材紹介などの募集方法と比較して、工数がかかる傾向があり、採用担当者の負担が増大する可能性があります。そのため、導入する際は運用に必要なリソースを確保しておく必要があるでしょう。また、一定の運用ノウハウも不可欠であり、ダイレクト・ソーシングに関する運用知識がないと期待する成果を得られないこともあります。
ダイレクト・ソーシングの運用を開始する際は、自社の状況やリソースに応じて採用支援(PRO)などの外部サービスを利用することも視野に入れておきましょう。
ダイレクトリクルーティングに関しては、以下の記事をご参照ください。
募集方法4:人材派遣
人材会社に自社が求める人材の職種・スキルなどを伝えた上で、要件にマッチする人材を派遣してもらう求人手法です。人材派遣には、業務の期間だけ就業する「一般派遣」、ゆくゆく正社員としての雇用を予定する「紹介予定派遣」という2つの種類があります。
派遣する人材に関しては派遣元に一任されており、派遣会社が自社の従業員や登録スタッフの中から、派遣先企業が求める人材を選出します。派遣会社と労働派遣契約を結び、時給×実働時間を派遣料金として支払います。
メリット
- 必要な期間だけ、求めるスキルを持った即戦力の人材を確保できる
- 採用費、人件費を削減できる
注意点
- 自社雇用ではないので長期的に働いてもらうことは難しい
- 業務内容によっては利用できない
このようなケースにおすすめ
- 期間限定でスキルを持った人材を必要としている
利用の流れ
人材派遣を利用する際の一般的な流れは、下記の通りです。
- ターゲットの設定
- 人材派遣会社の選定
- 人材派遣会社に問い合わせる
- 担当者に求める人材要件を伝える
- 人材派遣会社から紹介を受ける
- 人材派遣会社と派遣契約を締結する
- 入社
すぐに候補者が見つかり、順調に派遣契約の締結まで進めば2週間前後で派遣社員を迎え入れることができるでしょう。ただ、要件に該当する人材がなかなか見つからない場合は、派遣社員の就業開始まで長い期間がかかる場合もあります。
利用時のポイント
人材派遣の中には、特定の業界や業種に特化した人材紹介もあるため、専門性の高い人材を求める場合は、特定の領域に特化したサービスの利用を検討するのも良いでしょう。
早急に人員を増やしたい場合や、同時に多くの人数を雇用したい場合は、登録者数の多い人材派遣会社がおすすめです。豊富な人材データの中から需要や希望に合う人材を探してくれるため、比較的短い期間で人材の紹介を受けられることもあります。
募集方法5:自社ホームページ、採用ページ(採用サイト)
自社のホームページやホームページ内の採用ページに企業のアピール情報や求人情報を掲載して、求職者を募集する求人手法です。求職者は、応募の段階や選考の過程で、興味のある企業のホームページを閲覧し、情報収集しています。求人媒体では伝えきれなかった従業員のインタビューや職場の雰囲気、沿革や企業理念など魅力を掲載することで、より応募意欲やマッチングの精度を高めることが期待できます。
メリット
- 自社の魅力を十分に伝えることができ、表現の自由度も高い
注意点
- HPにアクセスしてもらえない場合、応募にはつながらない
- コンテンツの制作などで工数がかかり、リリース後も常にデータを更新する必要があることで手間がかかる
このようなケースにおすすめ
- 長期的な視点で採用を行いたい
- 採用ブランディングを行いたい
利用の流れ
自社ホームページ、採用ページ(採用サイト)を利用する際の一般的な流れは、下記の通りです。
- ターゲットの設定
- サイトに必要なコンテンツを整理する
- 採用コンセプトを決める
- サイトを構築する
- 情報を発信する
- 応募があった際には面談や面接日程などの調整を行う
- 選考
- 内定
- 入社
自社ホームページや採用ページの制作期間は、コンテンツボリュームや自社で制作するか外注するのかによって大きく変動するため、約1ヶ月~3ヶ月ほどの期間を見込んでおくことをおすすめします。
利用時のポイント
自社ホームページや採用ページを利用する際は、次の4つのポイントを意識しましょう。
- サイトコンセプトを一貫する
- 他のメディアと情報の相違が生じないようにする
- ユーザビリティを考慮する
- 情報が古いままにならないようにする
発信する情報ごとにコンセプトがズレてしまうと、最初に定めた採用ターゲットの興味・関心を喚起できなくなってしまう懸念があるため、コンセプトは一貫するよう意識しましょう。また、他のメディアと情報の相違が生じないようにすることも大切です。他のメディアで発信している情報と相違があると、求職者は不信感や不安を抱き応募を見送ってしまう懸念も考えられます。
なお、サイトを構築する際は、ユーザビリティを考慮し、採用ターゲットが求めている情報発信に努めるほか、動画や写真などを活用し、採用ターゲットに届けたい情報を届けられる仕様に仕上げましょう。さらに、情報が古い状態のままだと「採用に意欲的ではない」と捉えられてしまう可能性もあります。定期的に新しい情報に更新しましょう。
自社ホームページ・採用ページに関しては、以下の記事をご参照ください。
募集方法6:SNS(ソーシャルリクルーティング)
ソーシャルリクルーティングとは、SNS媒体を採用活動に利用する採用手法です。SNSの普及により、人材を募集する新たな方法として取り入れている企業も増えてきました。求職者とタイムリーに、気軽な双方向のコミュニケーションが取れるほか、拡散や口コミなどの効果も期待できます。
メリット
- 双方向のコミュニケーションが取れ、ミスマッチが防げる
- 採用コストを抑えられる
注意点
- 定期的なコンテンツの投稿など手間がかかる
- 成果に結びつくまで一定の時間がかかる
このようなケースにおすすめ
- 長期的な視点で採用を行いたい
- 採用ブランディングを行いたい
利用の流れ
SNS(ソーシャルリクルーティング)を利用する際の一般的な流れは、下記の通りです。
- ターゲットの設定
- SNSの選定
- アカウント開設
- 自社の情報を発信
- 求職者からのコンタクトや応募を待つ
- 応募や選考希望があった際には面談や面接日程などの調整を行う
- 選考
- 内定
- 入社
SNSのアカウント開設は、数十分程度で完了します。
ただし、運用に向けてのルール策定や体制構築に時間がかかることもあるでしょう。
利用時のポイント
SNSを利用した人材募集を行う際に意識したいポイントは、下記3点です。
- 採用ターゲットの利用率が高い媒体を活用する
- 採用ターゲットが求める情報を発信する
- SNSから応募につながる導線を設計する
SNSは媒体ごとに特徴やユーザー層が異なるため、採用ターゲットや自社の発信したい情報が伝わりやすい媒体を選ぶことが重要です。さらに、SNS単体では求人に応募できないため(人材採用に特化したSNSを除く)、自社の採用ホームページのリンクを貼るなど、応募につながる導線設計も忘れてはなりません。
また、採用にSNSを用いる際は、炎上や個人情報の流出、著作権侵害など、企業イメージを損なうリスクがある点に注意が必要です。事前に投稿用ガイドラインを策定したりトラブル時の対策を定めたりするなど、リスクやトラブルに対処できる体制を整えておきましょう。
ソーシャルリクルーティングに関しては、以下の記事をご参照ください。
募集方法7:検索エンジン
検索エンジンは、Web上の採用の求人情報や、リクナビNEXT、リクナビといった求人サイトに掲載されている求人情報を検索できる求人情報専門の検索エンジンを利用する人材募集の方法です。有料掲載と無料掲載があり、有料掲載の場合はクリック数などに応じて課金が発生します。
メリット
- 無料で掲載できる
- 多くの求職者の目に留まる
- 有料掲載の場合、効果に応じて予算を増やしたり、減らしたりと柔軟な運用ができる
注意点
- 効果アップのための運用(たとえばSEOの効果を高める対策など)に、手間がかかる
- 無料掲載の場合は上位表示されない(上位表示が難しい)
このようなケースおすすめ
- 採用予算を安く抑えたい
自社サイトや採用ページ(採用サイト)を有効活用したい
利用の流れ
検索エンジンを利用する際の一般的な流れは、下記の通りです。
- ターゲットの設定
- 検索エンジンに求人情報を入力
- 求人情報公開
- 求職者からの応募を待つ
- 選考
- 内定
- 入社
検索エンジンは、求人情報入力後すぐに求人情報がインターネット上に公開されます。しかし、多くの求人情報が掲載されているため、応募が来るまで時間がかかることもあります。
利用時のポイント
検索エンジンは無料利用できる点がメリットですが、多くの求人情報が集約されているため、自社の求人情報が埋もれてしまうリスクがあります。自社の求人情報が求職者の目に留まるようにするためには、上位に表示されたり、検索に引っかかったりする工夫が必要です。
予算に応じて有料広告を利用する、求人タイトルを見直す、検索に引っかかるようなキーワードを盛り込むなど、定期的に公開情報や公開方法を見直しましょう。
募集方法8:採用イベント
求職者と接点を持つためのイベントなどを開催し、会場に訪れた求職者に対して直接会社の魅力や仕事のやりがいなどを伝えることで採用につなげていく求人手法です。イベント会場では、求人企業がブースを設置し、求職者は会場を回りながら興味を持った企業のブースを訪問し、採用担当者からの説明を聞くスタイルが主流です。第二新卒、UIターンを狙ったものやエンジニア限定といった職種を絞ったものなど、さまざまなイベントが開催されています。
メリット
- 求職者に対して直接会社や仕事の魅力を伝えることでコミュニケ―ションを取れる
- 来場した求職者に対して直接会社のアピールをすることができる
注意点
- 来場者数が少なかった場合、採用効率が悪くなる
- 来場者のブース訪問率を上げるための事前準備に時間がかかる
このようなケースにおすすめ
- 採用担当者のコミュニケーション力が高い
- 経験やスキルよりもポテンシャルを重視した採用を行いたい
利用の流れ
採用イベントを利用する際の一般的な流れは、下記の通りです。
- ターゲットの設定
- 出展する採用イベントの選定
- 申し込み
- 出展準備
- 出展(会社説明や面接の実施)
- 選考
- 内定
- 入社
人気のイベントは、出展を希望する企業が多く、すぐに募集上限に達してしまうことも珍しくありません。出展することが決まったら、なるべく早く出展するイベントを選定しましょう。
利用時のポイント
採用イベントは、テーマや会場、主催者によって来場する求職者層や人数が大きく変動します。過去の開催データを参考に、求める人材が多く参加するイベントを選びましょう。
また、採用イベントによってはイベント当日に選考できる場合もあり、内定までのスピードを早められる利点があります。イベント当日に面接まで至らなかった求職者も面接の予定を確約しておけば、面接日程を調整する手間を省けるでしょう。転職イベントの利点を活かし、イベント当日は選考につなげるアプローチを意識しましょう。
採用イベントに関しては、以下の記事をご参照ください。
募集方法9:求人チラシ・ポスティング
求人のチラシやポスターを作成し、飲食店などであれば店内に掲示したり、店頭で配ったりなどで人材を募集する求人手法です。別途コストが発生しますが、新聞折り込みやポスティングなどで、多くの人に情報を届けることも可能です。
メリット
- コストがかからない(社内制作の場合)
注意点
- 配布エリア等が限定的で情報が届く範囲に制約があるため、大きな効果は見込みにくい
このようなケースにおすすめ
- 採用予算を安く抑えたい
利用の流れ
求人チラシ・ポスティングを利用する際の一般的な流れは、下記の通りです。
- ターゲットの設定
- 採用コンセプトの設定
- 求人チラシの制作
- 求人チラシの掲示、ポスティング
- 応募があった際には面談や面接日程などの調整を行う
- 選考
- 内定
- 入社
自社でチラシを制作する場合は1週間~2週間前後、外部に発注する場合は1ヶ月前後を目安にしましょう。
利用時のポイント
人材を募集する方法として求人チラシを制作する場合は、下記2つのポイントを意識しましょう。
- 目を引くデザインを意識する
- 求職者が求める情報を掲載する
チラシを制作する際は、配色や文字のフォントを調整し、目を引くデザインに仕上げましょう。ただし、目を引きたいばかりに、著作権侵害にあたるキャラクターの使用やデザイン性の高いほかのチラシの転用はトラブルに発展する恐れがあるため控えましょう。
求人チラシには、自社の情報のみならず、求職者が求める情報の掲載も必須です。具体的には、次の情報を記載しましょう。
- 応募資格
- 業務内容
- 勤務日数・時間
- 給与
- 福利厚生
- 応募連絡先・申し込み先 など
求人チラシに職場の雰囲気が分かる写真を掲載するのもおすすめです。
募集方法10:リファラル
在籍する従業員から知人や友人を紹介してもらう求人手法です。「リファラル採用」と呼ばれており、最近では多くの企業が取り入れています。自社の仕事や企業文化、候補者の人柄を理解している従業員が紹介するためマッチングの精度が高く、離職率も低い傾向にあります。
メリット
- 採用コストを抑えられる
- 転職市場には出現していない人材に出会える可能性がある
注意点
- 紹介者の入社意欲にばらつきがあり、入社までに時間がかかる
- 紹介者と候補者の人間関係に配慮する必要がある
このようなケースにおすすめ
- 採用予算を安く抑えたい
- 企業文化にマッチする人材を採用したい
利用の流れ
リファラル採用を利用する際の一般的な流れは、下記の通りです。
- リファラル採用運用メンバーを決める
- ターゲットを設定する
- 採用目標(KGI)を策定する
- 各工程における目標(KPI)を設定する
- リファラル採用のルールを策定する
- 運用メンバーもしくは小規模な運営から開始する
- 全社に展開する
- 紹介を受ける
- 選考
- 内定
- 入社
リファラル採用は、入社意欲が高く自社にマッチする人材の紹介があれば、すぐにでも人材を採用できる募集方法です。しかし運用が軌道に乗らない場合は、なかなか紹介が出ず、採用に時間がかかることもあります。
利用時のポイント
リファラル採用を運用する際は、友人や知人に紹介したくなるような会社作りがポイントになるでしょう。また、経営者層も含め社員全員がリファラル採用に取り組む土壌の形成も必要だと考えられます。社内の働きやすさを整備するとともに、採用担当者やリファラル採用を推進するメンバーが主体となり、継続的にリファラル採用についての取り組みや成果を社内に発信していきましょう。
注意点としては、人材が同質化したり、偏った人材が集まりやすくなったりする懸念があります。人材が偏らないようにするためには、別の募集方法との併用を検討しましょう。また、紹介者と候補者の関係に配慮が求められる点もリファラル採用の注意点として挙げられます。採用担当者は、双方の関係にも配慮し、適切な応対を心掛けましょう。
リファラル採用に関しては、以下の記事をご参照ください。
募集方法11:タレントプール
自社が今まで接点を持った求職者の中から必要な人材を選択しアプローチすることで採用を実現させる求人手法です。「採用したい人材だが社内のポジションに空きがない」「入社の時期が合わない」といったさまざまな理由で採用見合わせになった候補者のデータベースを作成し、定期的にコミュニケーションを取ることで、再びニーズが発生した時に採用につなげることができます。
メリット
- マッチングする可能性が高い
- 転職を考えている層に対してタイムリーにアプローチできる
注意点
- 採用までに一定の時間がかかる
- 定期的にコミュニケーションを取る必要があり、工数がかかる
このようなケースにおすすめ
- 時間がかかってもいいので、自社に合った最適な人材を採用したい
利用の流れ
タレントプールを導入する際の一般的な流れは、下記の通りです。
- ターゲットの設定
- タレントプールの形成
- タレントプールしている人材のデータベース化
- 候補者と定期的にコンタクトを図る
- 再アプローチ
- 応募があった際には面談や面接日程などの調整を行う
- 選考
- 内定
- 入社
タレントプールは、タレントプールの形成に時間がかかります。タレントプールを用いた採用を行う際は、中長期的な運用を視野に入れましょう。
利用時のポイント
タレントプールを運用する際は、候補者に対して定期的な情報を発信したり、コンタクトを図ったりして接点や交流を絶やさないようにすることがポイントになるでしょう。候補者と継続的に交流や接点を持ち続けることで、人材を募集する時にすぐターゲットに近い人材に対してアプローチできるでしょう。
また定期的にプールしている人材のデータベースを最新化しておけば、自社の求める人材を絞り込みやすくなったり、アプローチ時の確度や反応も良くなったりすることが期待できます。
募集方法12:ハローワーク
ハローワークでは、各企業が求人情報を通じて人材募集を行っています。全国500カ所以上ものネットワークがあり、身近な相談窓口として親しまれているのがハローワークです。求人情報を掲載するには、管轄のハローワークで事業所登録シートと求人申込書を記入する必要があります。そうすることで、求人情報として最大3カ月公開されるほか、Webサイトへの公開も可能です。
メリット
- 無料で掲載できる
- 条件によっては助成金の給付を受けられる
注意点
- 求人情報の内容が就業条件のみで情報量が乏しい
- ハローワークを間に挟んで企業とやりとりを行うため、面接調整など選考に時間がかかる場合がある
このようなケースにおすすめ
- 採用予算を安く抑えたい
利用の流れ
ハローワークを利用する際の一般的な流れは、下記の通りです。
- ターゲットの設定
- 事業所情報登録
- 求人情報の登録
- ハローワークの窓口で内容の確認
- 求人情報の公開
- 求職者の応募
- 選考
- 内定
- 入社
参考:「人申込み手続きの流れ」(ハローワークインターネットサービス)
求人が公開されるタイミングは、管轄のハローワークによって異なります。公開のタイミングを知りたい場合は、求人登録の際に管轄のハローワークの担当者に確認してみましょう。
利用時のポイント
求人の公開期限は、求人受理日の翌々月末日までとなります。
たとえば、3月10日に受理された場合は、5月31日までの公開となります。より長い期間、求人情報を公開したい場合は、月初に受理されるよう月初めに申請しましょう。
また、ハローワーク利用者の多くが早いタイミングでの就業を希望しています。入社時期から逆算し、1~2ヶ月前を目安に求人の申し込みするのが望ましいとされています。
参考:「求人申込Q&A」(大阪労働局 職業安定部 大阪ハローワーク ハローワーク淀川)
確率を高めるための募集方法の最適な組み合わせ方の例
採用活動を成功させるためには、自社に適した人材募集の方法を見極めることが重要です。そのため、複数の募集方法を併用することが望ましいでしょう。
本章では、確率を高めるための募集方法の最適な組み合わせ方として、下記2つの例を紹介します。
- IT企業などで専門性の高い人材を採用したい場合
- 新商品拡販のため短期間で大量の人数を採用したい場合
ケース1:IT企業などで専門性の高い人材を採用したい場合
「人材紹介」+「ダイレクトリクルーティング」
その分野を得意とする人材紹介会社へ依頼するとともに、経歴を確認してオファーできるダイレクトリクルーティングを利用し、ほしいターゲットにアプローチします。
ケース2:新商品拡販のため短期間で大量の人数を採用したい場合
「総合型求人サイト」+「人材紹介」
総合型求人サイトと人材紹介を併用し、多くの母集団を形成します。選考を効率よく進めるため個別に選考するのではなく、自社で説明・選考会を開催し、多くの候補者と一度に接点を持ち、説明会と選考会を同時に行うことで採用までの期間を短縮する方法もあります。
人材募集を成功させる3つのポイント
ここでは、人材募集を成功させる下記3つのポイントについて解説します。
- 人材要件の明確化
- 採用ターゲットに適した採用手法の選定
- 自社の強みを明確化
『確率を高めるための募集方法の最適な組み合わせ方の例』でも紹介したように、複数のポイントを組み合わせるとより効果を高められるでしょう。
ポイント1:人材要件の明確化
採用する際の基準となる、どのような人材を採用するかについて言語化したものが「人材要件」です。自社の経営理念・ビジョン、現場からヒアリングした必要な経験・スキル、職場にマッチする人物タイプを合わせ、MUST・WANTなど優先順位をつけていきます。担当者によって解釈が異なることのないよう、具体的な言葉に落とし込んでいきましょう。
ポイント2:採用ターゲットに適した採用手法の選定
求めるスキル、採用人数などの採用難易度、採用コストや人事のマンパワーの有無、労働市場の変化を含めて総合的に判断することが大切です。
ポイント3:自社の強みを明確化
求人媒体の広告制作、人材紹介での求人情報の記載、面接といった選考過程で、自社の強み・魅力を候補者に分かりやすく伝えることが大切です。そのためには、企業力、組織・風土、仕事の魅力などに分けてそれぞれの魅力を言語化し、採用に携わる全ての人が共有していくことが大切になってきます。また、自社の強みについて改めて言語化することは、従業員が自社の魅力を認識する機会ともなります。
アドバイザー
組織人事コンサルティングSeguros / 代表コンサルタント
粟野 友樹(あわの ともき)氏
約500名の転職成功を実現してきたキャリアアドバイザー経験と、複数企業での採用人事経験をもとに、個人の転職支援や企業の採用支援コンサルティングを行っている。