売り手市場が続く昨今、採用担当者から求職者へ直接アプローチする「スカウトメール」を取り入れる企業が増えていますが、実際は返信率の低さに悩んでいる採用担当者も少なくありません。そこで今回は、スカウトメールの返信率アップを目指す方に、書き方のコツや良い例・悪い例、開封率を上げる件名のポイント、ターゲット別の文面例などをご紹介します。

スカウトメールとは

スカウトメールとは、企業が求職者に対して、メールで直接アプローチする採用手法のことを指します。求人媒体のサービスとして求職者のデータベースを利用して送るほか、SNSやメールアドレスにダイレクトにメールを送り、アプローチをする採用手法もあります。

スカウトメールの効果的な使い方

売り手市場が続く昨今では、求人情報を掲載して応募を待つだけの「待ち」の採用では優秀な人材の獲得が難しくなっています。そこで注目されているのが、採用担当者から求職者へ直接アプローチする「攻め」の採用手法であるスカウトメール。送信ターゲットを絞り込めることから、より狙った人材からの応募を獲得することにもつながります。

スカウトメールが効果的な募集の事例をあげると、例えば、待っていてもなかなか応募が集まらない専門職や採用市場に対象者が少ない職種の場合です。数少ない対象者に、より確実に募集を知ってもらうために、スカウトメールで情報を届けることが有効です。

また、時代の変化とともに生まれた新しい職種や世の中になかなかない特殊な職種の場合、検索して発見してもらうことが重要な求人媒体では、求める人材とのマッチングが難しいため、スカウトメールを使って直接アプローチすることが効果的です。

もう一つが、急募の求人の場合。求人媒体に掲載して応募を待つよりも、スカウトメールの活用により、短期間で多くの人材にアプローチすることが可能です。

スカウトメールの書き方・コツ

実際にスカウトメールを書く際のポイントとコツをご紹介します。

件名にこだわる

スカウトメールを送っても、まず開封されなければ意味がありません。そこで、開封率を上げるために有効なのが、件名にこだわること。採用ターゲットを分析し、響くメッセージを記載することが重要です。

「誰に」「何を」「どのように」伝えるのかを明確にする

誰に

求人広告と同様にまずは「誰に」向けた求人なのか、採用ターゲットを明確にします。特にスカウトメールの場合、送信条件を詳細に設定できるケースが多いため、採用におけるMUST条件とWANT条件を明確にしておくことで、条件設定もスムーズになります。また、スカウトメールを受け取った求職者が「なぜ自分にメールが送られてきたのか」がわかることも、効果を高めるポイント。送信ターゲットの経験・スキルだけでなく、転職動機や次に求めるキャリアなどもイメージしておくと、「○○の経験を持ったあなたに」「○○を期待して」「○○を叶えられる当社で活躍しませんか」など、より「特別感」のある文章を書くことができます。

何を

送信ターゲットを明確にし、その相手に「何を伝えれば興味を持ってもらえるのか」を考えましょう。スカウトメールを書く上でのポイントは、とにかく魅力をわかりやすく伝えること。知らない会社からメールが来ても、なかなかじっくりとは読んでもらえないもの。まずは興味を持ってもらうためにも、送信ターゲットが魅力に感じるポイントを整理し、できるだけ早く伝えましょう。例えば、年収を上げたいと考えている採用ターゲットには給与の情報を、より裁量を求める採用ターゲットにはポジションや仕事の魅力を、働き方を改善したい採用ターゲットには勤務時間や休日休暇などの労働条件の良さを伝えるなど、相手に合わせた情報提供が効果的です。

どのように

スカウトメールの文章の書き方のコツは、わかりやすく端的にまとめること。想いを込めて長々とした文章になりがちですが、求職者には数多くのスカウトメールが届いていることを知っておく必要があります。コンパクトに魅力が伝わる文章や、1文の長さを短くするなど、読んでいてストレスに感じない文章を心がけましょう。

スカウトメールの良い例・悪い例

スカウトメールの良い例・悪い例を具体的に紹介します。

主な送信ターゲットとして、同業界の営業経験者を想定しています。

スカウトメールの悪い例

【件名】

○○業界での営業経験を活かし、当社で活躍してみませんか?

【本文】

○○様

はじめまして。株式会社○○の採用担当です。

弊社は創業以来、○○事業を展開し、○○を始めとした幅広いサービスを取り扱っています。○期連続で増収増益を続けており、新規事業の立ち上げも進めるなど経営状況は順調に推移しています。そこで事業拡大に伴い、営業職を増員します。

○○業界での営業経験をお持ちの方はもちろんのこと、充実の社内研修制度やアットホームな環境により、未経験者の方も活躍できる環境になっています。

当社の募集にご興味をお持ちいただけましたら、ご応募をお待ちしております。

BADポイント

  • 件名に特別感がなく、どの企業でも送れる内容になっている
  • 本文の導入は会社の説明が中心で、内容も抽象的である
  • 送信ターゲットが「なぜ自分に届いたのか」特別感が持てない
  • 文章が経験者だけでなく、未経験者を対象にしており、多くの人に同じ内容の文面を送っている印象を受ける

スカウトメールの良い例

【件名】

【〇〇経験をお持ちの○○様への特別オファー】新規事業立ち上げの中核として活躍しませんか

【本文】

○○様

はじめまして。株式会社○○の採用担当です。

○○様のご経歴を拝見し、弊社の新規事業の中核としてご活躍いただける可能性を感じ、ご連絡させていただきました。

弊社は創業以来、○○事業を展開し、○期連続で増収増益を続けています。また、現在新たに〇〇の分野での新規事業立ち上げを進めております。

○○様には、まず大手企業向け営業組織の中核としての役割を期待しております。一方、当社は成果主義のため、○○様のご希望や営業成績に応じて、入社半年以降は、マネージャーポジションへの転向や、海外部門への異動も可能です。

まずは○○様にお会いし、ざっくばらんにお話できればと思っております。お会いできることを楽しみにしています。

GOODポイント

  • 件名と本文の導入部分に「特別感」があり、送信ターゲットが「なぜ自分に送られてきたのか」が理解できる
  • 送信ターゲットに期待することや任せたい仕事を明確に記載している
  • 新規事業立ち上げという特別感のある募集であることや、将来的に広がる可能性のあるキャリアなどを明示し、魅力がわかりやすくなっている
  • 締めの文言も求職者が「まずは話を聞いてみたい」と思えるよう、応募へのハードルを下げた表現としており、求職者がアクションしやすくなっている

開封率がUPするスカウトメールの件名とは

まず開封してもらうために、特に重要となるのが「件名」です。どの企業でも言えるような当たり障りのない内容では、膨大なメールの中に埋もれてしまい開封されにくくなってしまいます。

ポイントは、「特別感」と「わかりやすい魅力」の2点です。

「特別感」の例は、「〇〇経験のある〇〇様へ」「未経験から〇〇を目指す方へ」など。送信ターゲットがなぜ自分に送られているのか、自分のどこを評価されているのかがわかり、特別感を感じやすくなります。

「わかりやすい魅力」の例は、「新規事業立ち上げメンバー募集」「中途入社者1年目の平均年収〇〇万円」「○○業界売上No.1の売りやすい商品」(根拠と合わせて記載)など。件名は文字数が限られるため、多くの情報を入れることはできません。送信ターゲットが魅力に感じるポイントと、自社の募集の魅力をかけ合わせて、最も効果的な内容を記載しましょう。

ターゲット人材別の返信率がUPする文面例

採用ターゲット人材別の作成のポイントと文面例を紹介します。

営業

営業職の転職理由で多いのが、「今の環境ではキャリアアップできない」「給与への不満」「残業や休日出勤の多さなど、労働環境への不満」「評価体制への不満」など。こうした不満を持っているターゲットが多いことを想定した情報提供が重要になります。

件名に入れると効果的な文例

  • 転職者の○○%が入社1年目に年収アップ、中途入社者の平均年収〇〇万円
  • 入社半年で昇格可能
  • 新規開拓なし、100%反響、業界○○シェアNo.1

※外部の統計データを使用する際は、本文中にて、エビデンスを明記

  • 月平均残業○時間、年間休日〇〇日、有給取得率〇〇%

本文の構成例

○○様

はじめまして。株式会社〇〇代表の〇〇と申します。

〇〇の経験をお持ちのあなたに、ぜひ弊社の〇〇の営業として活躍していただきたく、ご連絡をいたしました。

当社で働く魅力をご紹介します。

◆新規開拓なし。業界シェアNo.1商品の反響営業です。

あなたにご提案いただく〇〇は、特許を取得した業界No.1のオリジナル商品。お客様より多くの反響がありますので、新規開拓は一切ありません。

◆転職者の○○%が入社1年目に年収アップを実現!

営業経験をお持ちの方は、月給〇〇万円からのスタート。さらに成果を反映したインセンティブにより、入社1年目から平均○○円程度の収入を得ることが可能

「自信を持って提案できる商品を扱いたい」「がんばった分、正当な評価と収入を得たい」という方にはまさにぴったりの環境です。

少しでも興味をお持ちいただけましたら、ご応募をお待ちしています。

IT

ITエンジニアの転職理由であるのが、「仕事内容のミスマッチ」「将来性やスキルアップへの不安」「給与への不満」「残業や休日出勤の多さなど、労働環境への不満」などです。また、業務内容や開発環境への関心が高い方も多く、それらの情報を明確に記載することが重要です。

件名に入れると効果的な文例

  • PL/PMをお任せします
  • テレワーク可能、フレックスタイム制
  • 月平均残業○時間、年間休日〇〇日、有給取得率〇〇%

本文の構成例

○○様

はじめまして。株式会社〇〇の〇〇と申します。

Web分野での開発経験やリーダー経験をお持ちのあなたに、ぜひ弊社の〇〇の開発担当として活躍していただきたく、ご連絡をいたしました。弊社では〇〇分野でのシステム開発を強みに株式会社〇〇や株式会社〇〇と直接取り引きし、○年連続で増収増益を続けています。

当社で働く魅力をご紹介します。

◆月平均残業は○時間。スケジュール管理がしやすい環境です。

直請けの自社開発が100%。スケジュール管理がしやすいため、残業は月平均○時間とメリハリをつけて働ける環境です。フレックスタイム制を導入しているほか、週○回のテレワークも可能です。

◆新サービスに関する開発リーダーをお任せします。

弊社の新規事業部門でエンジニアリーダーとして、新サービスの企画から開発チームの立ち上げなどに関わっていただきたいと考えています。新技術の導入なども自由に検討し、裁量を持って活躍してください。

「オンオフのメリハリをつけて働きたい」「エンジニアとして新たなチャレンジがしたい」という方にはまさにぴったりの環境です。

少しでも興味をお持ちいただけましたら、ご応募をお待ちしています。

専門職

募集が少ない専門職の場合、送信ターゲットに確実にメールを開いてもらうことが大切になります。件名で募集職種やポジションを明示し、送信ターゲットが対象の募集であることを早めに伝えましょう。同業界での転職になるケースが多くなりますので、業界内での企業の比較検討や魅力の分析を丁寧に行い、前職との違いを明確に示せるとベストです。以下は研究職を事例に、文面例を紹介します。

件名に入れると効果的な文例

  • 募集ポジションの特徴
  • シェアNo.1など、業界内での立ち位置や特徴

本文の構成例

○○様

はじめまして。株式会社〇〇の〇〇と申します。

弊社は〇〇分野の研究開発・生産で国内シェアトップを誇る化学メーカーです。あなたのレジュメを拝見し、〇〇の経験に大変興味を抱きました。現在、弊社では〇〇の開発に力を入れており、ぜひ〇〇の専門家である〇〇様のお力を発揮いただきたくご連絡いたしました。

お任せしたい業務内容

〇〇の研究開発部門にて、研究職として〇〇の研究に取り組んでいただきます。弊社では、研究開発費に年間〇〇億円投資しており、最先端の開発環境が特徴になります。

待遇・福利厚生

弊社では、育児や介護などさまざまなライフステージにおいて社員が働き続けられるよう、柔軟な勤務体制を導入しています。充実した待遇・福利厚生を用意しているほか、研究職の方には前年度の実績次第で報奨金支給と研究予算の増額を行っております。

少しでも興味をお持ちいただけましたら、ご応募をお待ちしています。

まとめ

スカウトメールの書き方のコツをまとめると、採用ターゲットへの「特別感」と、「具体的な魅力(メリット)」と、「分かりやすく簡潔な伝達」の3点です。そして、まずは件名でいかに魅力を伝えるかが重要な鍵となります。

ぜひ今一度、スカウトメールを見直してみて、「開封したくなる件名になっているか」「読みやすく、会社や募集の魅力が伝わる文章になっているか」を確認してみてください。


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