目次
リフレッシュ休暇とは?
「リフレッシュ休暇」とは、心身ともに疲労回復することを目的とした休暇のこと。厚生労働省は「職業生涯の節目に勤労者の心身の疲労回復等を目的として付与される休暇」と定義しています。
出典:厚生労働省 働き方・休み方改善ポータルサイト「代表的な特別な休暇制度の例」
厚生労働省の「平成31年就労条件総合調査」によると、リフレッシュ休暇制度を導入している企業は13.1%(従業員1,000名以上の企業では46.5%)。「平成25年就労条件総合調査」では全体11.1%(従業員1,000名以上の企業では40.4%)ですので、導入する企業は増加傾向にあります。
出典:厚生労働省「平成25年就労条件総合調査 結果の概況 労働時間制度」
出典:厚生労働省「平成31年就労条件総合調査 結果の概況 労働時間制度」
有給休暇とリフレッシュ休暇の違い
リフレッシュ休暇は企業の義務?
有給休暇は法律で定められた法定休暇で、企業に設定することが義務付けられています。一方リフレッシュ休暇は、法律で定められていない法定外休暇ですので、企業に義務はなく、リフレッシュ休暇を導入するかどうか、またどのような制度にするかは、各企業の判断に委ねられています。
リフレッシュ休暇の企業のメリット・デメリット
企業側のメリット
メンタルヘルス・離職対策
長時間労働の是正や従業員のメンタルヘルス対策が企業に求められているなかで、リフレッシュ休暇を導入することで、従業員のメンタルヘルス対策にもなり、離職を減らすことにもつながります。
生産性の向上
リフレッシュ休暇を利用することで、従業員は心身ともに回復した状態で職場に戻れ、仕事へのモチベーションが高まり、生産性の向上につながるメリットがあります。
採用ブランディング・企業イメージの向上
株式会社リクルートキャリア(現・株式会社リクルート)が2019年リクナビNEXTの登録者を対象に実施したアンケートでは、就業先で実際に取得できている長期休暇の日数を聞いたところ、男女ともに「3日未満」が最も多く、また必要だと思う長期休暇の日数については3~5日が最も多いという実態がわかりました。
出典:リクナビNEXT2019年7月10日 転職情報サイト『リクナビNEXT』の登録者を対象としたアンケート
「休日・休暇が多い」、「リフレッシュ休暇など特別休暇が充実している」ことは、人材を確保する上で有利になり、社員にとって働きやすい環境を整えている「社員想い」の会社であることも伝えられ、企業イメージの向上につながります。
企業側のデメリット
制度が形骸化する
制度を作っても、従業員に利用されないのでは制度化した意味がありませんので、制度利用を推進しましょう。仕事の引継ぎなどがスムーズに運ぶよう管理職がサポートするなど、休暇をとりやすい環境をつくることが重要です。
組織の生産性が下がる
引継ぎがうまくいかないと業務が滞ることも考えられます。特にキャリアが長く、重要なポジションにいる従業員が長期間休む場合は、部署全体でサポートしていくことが必要です。
リフレッシュ休暇の従業員のメリット・デメリット
従業員のメリット
年間休日とは別にリフレッシュ休暇を取得できるよう設定している企業もありますので、休暇が増えるメリットがあります。休日と併せて利用した場合1週間以上となるなど、ある程度まとまった休暇が取得できますので、旅行や趣味をゆっくり楽しんだり、家族や友人と過ごしたりとリフレッシュできます。
また休暇に備え引継ぎの資料を作成することによって、自分自身の業務の整理につながるという効果もあります。
従業員のデメリット
休暇中の引継ぎ資料の作成や引継ぎメンバーへの説明などで、休暇前は一時的に業務が増えることが考えられます。引継ぎがうまくいかないと休暇中に対応しなくてはならないケースも発生しますので、組織としてのサポートが必要です。
リフレッシュ休暇の付与日数と条件の考え方
リフレッシュ休暇は、法律での規定がなく各企業が自由に設定できます。
取得の条件
リフレッシュ休暇を取得できる条件として、勤続3年目、勤続5年目、勤続10年目などある一定期間の勤続を条件にしている企業が多いようですが、勤続年数の条件を設定せず全員が取得できる企業もあります。自社に適した制度を考えてみてはいかがでしょうか。
付与日数
日数については各企業で異なりますが、たとえば勤続3年目は5日間、勤続7年目は7日間など、勤続年数に応じて日数を決める企業が多いようです。1企業平均1回当たり最高付与日数は、5.5日。取得時期については従業員に委ね、土日や連休などと併せて1週間以上の休暇取得を可能としている企業が多いです。
出典:厚生労働省「平成31年 就労条件総合調査 結果の概況 労働時間制度 (5)特別休暇制度」
リフレッシュ休暇中の給料について
前述の「平成31年 就労条件総合調査」によると、95.9%の企業がリフレッシュ休暇中に給料を全額支給しています。休暇中の給与や一時金の支給は、リフレッシュ休暇の利用促進にもつながります。また永年勤続表彰の一環として、リフレッシュ休暇+慰労金または金一封を支給して、長年の勤続の労をねぎらう企業もあります。
出典:厚生労働省「平成31年就労条件総合調査 結果の概況 労働時間制度(5)特別休暇制度」
リフレッシュ休暇を導入している企業
実際にリフレッシュ休暇を導入している企業をご紹介します。
アルス株式会社
事業内容:コンピュータ・ソフトウェアの設計/開発
本社:東京都品川区
従業員数:56名 ※2021年4月1日時点
勤続5年以上で連続した6カ月間のリフレッシュ休職、10年勤続で連続した12カ月の「リフレッシュ休暇」(希望者のみ)を設けています。リフレッシュ休職は、在籍したまま業務以外の自己研鑽を経験することで、心身ともにリフレッシュし復職後に活かすという趣旨で導入されています。これまでの取得者は、語学留学、ワーキングホリデー、デザインスクールの受講などを経験し、その経験を業務でも活かしています。
参考:アルス株式会社 企業HP
※本事例は、公開時点の内容になります。
株式会社ジャパネットホールディングス
事業内容:通信販売事業、スポーツ・地域創成事業
本社:⻑崎県佐世保市
従業員数:3,696名※2020年10月時点
ジャパネットでは社員一人ひとりが心も体も健康な状態でいきいきと働ける環境を目指し、2015年から働き方改革に取り組みさまざまな制度を導入しています。
リフレッシュ休暇は、もともと顧客対応部門のみで実施されていた制度でしたが、それを拡大する形で、2018 年からは全社員が対象に連続した9日間の休暇もしくは、16 連休の取得を推奨する「スーパーリフレッシュ休暇」を導入しています(9連休・16連休いずれかは所属会社による)。休暇中は社用携帯の持ち帰りを禁止しており、業務が人につかない仕組み作りを行っています。
※本事例は、公開時点の内容になります。
株式会社リクルート
事業内容:国内外の販促メディア事業、日本のHR事業及びグローバル斡旋を統合したユニット、メディア&ソリューション事業の管理/事業推進
本社:東京都千代田区
従業員数:15,807名(2021年4月1日現在 / アルバイト・パート含)
2021年4月の国内7社統合を機に、国内約1.6万人を対象に新しい働き方を支える人事制度を導入。リクルートが大切にしてきた価値観「個の尊重」に基づき、これまで以上に、一人ひとりが働き方を自律的に選べること、働く・休むのメリハリをつけやすいことが特徴です。リクルートのリフレッシュ休暇としては以下の制度があります。
STEP休暇
在籍3年ごとに1回取得できる休暇です。暦⽇で14〜28⽇(休⽇を含む)の範囲で任意に取得可能です。※連続で取得することが必須となります。
参考:リクルート「福利厚生」
※本事例は、公開時点の内容になります。
メンタルヘルス対策や離職防止にも役立つ、リフレッシュ休暇。企業によって制度内容はさまざまですが、メリット・デメリットを踏まえて自社に適したリフレッシュ休暇を検討してみてはいかがでしょうか。