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内定辞退とは
内定辞退とは企業側が内定を出した後に応募者側が内定を辞退してしまうことです。空前の売り手市場といわれている現在は、新卒採用の現場では何社にもエントリーしている応募者は珍しくありません。労働人口の減少が続く日本は、企業が一方的に応募者を選ぶ時代ではなく、応募者からも選ばれる時代であり、今後もこの流れは続くと考えられます。実際、リクルート 就職みらい研究所が行った「就職白書2019」(※)では、企業の「面接人数」を100とした場合、「内定辞退人数」の割合は2017年卒が8.2、2019年卒では11.5に上昇しているのが分かります。
※出典:就職みらい研究所『就職白書2019』データ集(P10)
採用担当者として覚えておくべきことは、内定者から会社に対し内定辞退を申し出ることは原則としていつでも可能であり、内定を辞退することは労働者の自由ということです。「人材を逃さない」そのためにも内定辞退の防止は今後の採用担当者の重要な役割の一つです。
内定辞退をする理由
自社に興味を持ち時間を割いてエントリーをしてきてくれた応募者が、なぜ内定を辞退してしまうのでしょうか。ここでもリクルート 就職みらい研究所が行った「就職プロセス調査(2020年卒)※2019年7月1日時点」が参考になります。
※出典:リクルート 就職みらい研究所「就職プロセス調査(2020年卒)※2019年7月1日時点」
この調査によると就職内定辞退の理由1位は「他に志望する企業の内定を取得した」というもので、2位「年収が低い」3位「自らの成長が期待できない」と比較しても2倍以上の差がついています。ではなぜ、選考の最中で優先順位が生まれるのでしょうか。もちろん応募者の個々人によってさまざまな要因が考えられますが、採用担当者が関与する部分で大きな割合を占めているのが、面接などの応募者とのコミュニケーションです。採用担当者なら一度は経験したことがあるかもしれませんが、「人事の方の熱い想いに惹かれた」「人事の方の親身な姿勢に会社の社風を感じることができた」など採用担当者が決め手になるケースは決して少なくありません。リクルート 就職みらい研究所「就職プロセス調査(2020年卒)※2019年7月1日時点」でもこのことが示されており、2020年卒のTOPICとして、学生の入社意欲を最も高めるのは「面接など対面での選考」であり、学生が面接担当者に求めているのは「一人ひとりに向き合ったコミュニケーション」という分析結果を発表しています。次の項目では内定辞退を防ぐのに効果的な方法として「一人ひとりに向き合ったコミュニケーション」を詳しく見ていきます。
内定辞退を防ぐのに効果的な方法
下記の図の通り、就職確定先の入社意欲が高まった要因として「面接など対面での選考」が1位にあげられています。また同調査で学生に聞いた「理想の面接担当者像」アンケートでは「自らに1番必要なことを自分で上手く考えさせてくれる機会を与えてくれる人」「自己PRや何らかの応答にリアクションをしてくれる。ちゃんと聞いてくれている人」など、一人ひとりに向き合ったコミュニケーションを採用担当者が取ることによって入社意欲が高まっている一面がみえます。
※出典:リクルート 就職みらい研究所「就職プロセス調査(2020年卒)※2019年7月1日時点」
ここからはもう少し具体的に、面接などで明日から使える一人ひとりに向き合ったコミュニケーション方法を示していきます。
1.スピーディーな連絡を心掛ける
応募者は選考の過程においてさまざまな情報に触れ、迷っていたり不安を抱えていたりするものです。採用担当者がスピード感を持って対応することで、応募者の道しるべとなり前向きに次のアクションに進むことができるはずです。
2. 面接では対話ができるような雰囲気をつくる
応募者は採用担当者や面接官を通して会社の風土を感じ取っています。一方的な見極めをするのではなく、応募者がリラックスして自分のことを話せる雰囲気づくりを行ってください。
3. 不安を早めに解消する
応募者の不安なことは早めに解消することが重要です。モヤモヤを抱えたまま不安だけが膨らんでしまうと内定辞退の要因になりかねません。「ライフステージに合わせた働き方ができるのか?」という応募者には実際の社員に会ってもらう、「キャリアチェンジが可能なのか?」という応募者にはキャリアの選択肢を提示するなど、応募者が不安に感じることを先回りして解消しておく必要があります。
4. ミッション・ビジョンを共有する
表面的な条件だけではなく、何のために企業が存在しているのか、本質的な価値をしっかり共有しておきましょう。応募者のやりたいことや、これまで培った経験と自社のミッションやビジョンを紐づけて会話ができると深い共感が得られるはずです。
応募者を一括りにすることなく「一人ひとりに向き合ったコミュニケーション」を心掛け、入社し活躍して欲しい人材を逃すことがないようにしっかり準備をしてください。