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最新の新卒・中途採用のトレンドとは
新卒採用のトレンド
株式会社リクルートの調査では、2023年3月卒の大卒求人倍率は1.58倍(前年度比0.08ポイント増)、求人総数は前年増減率4.5%増と4年ぶりの増加となりました。コロナ禍前の水準(1.6倍以上)には戻っていないものの、回復傾向にあります。
近年のデジタル化の加速によって幅広い採用ツールが出現したことは、企業の採用活動を様変わりさせたといえるでしょう。中小企業やベンチャー企業も学生に対して企業から情報発信を行い、アプローチするようになったと考えられます。
従来の新卒採用手法は、学校への求人告知や就職情報サイトへの掲載を通じて求職者を募るものが主流でしたが、株式会社リクルート・就職みらい研究所の調査によれば、2023年度新卒採用の認知形成・広報の手段は自社のWebサイトがトップとなりました。そのほかにも、ソーシャルメディア、動画配信サービス、企業が登録された学生のプロフィールを見てアプローチする、逆求人型・オファー型などと呼ばれる採用方法など、近年拡大した新しい手法の活用が増加傾向を示しています。
出典:
株式会社リクルート「第39回 ワークス大卒求人倍率調査(2023年卒) 」
株式会社リクルート 就職みらい研究所「採用活動中間調査 就職活動状況調査 データ集 2023年卒 」
中途採用のトレンド
株式会社リクルートのデータでは2022年度上半期、人員を確保できた企業は39.3%、確保できなかった企業は58.7%でした。「確保できた」-「確保できなかった」のマイナス幅は2013年上期以降で過去最大となっており、採用難が加速している傾向が見られます。
2022年度はコロナ禍の採用への影響も少なく、企業規模や業種に関係なくほぼすべての従業員規模・業種で採用困難な状況を示しており、中途採用市場では経験者の争奪戦が起こっていると考えられます。また、職種による採用難易度の差が大きい傾向があり、IT・デジタル人材は採用難易度が高くなっています。
著者の周囲でも多くの企業の採用担当者は、「あらゆる採用手法を試しながら、必要な人材獲得に手探りで動いている」といった状況にあり、採用に苦心している様子がうかがわれます。
出典:
株式会社リクルート リクルートワークス研究所「中途採用実態調査 2022年度上半期実績、2023年度見通し正規社員」
新卒・中途の代表的な採用手法
新卒採用、中途採用に共通する採用手法について
求人媒体(Web/紙)
従来から採用の手法として定着しているのが求人広告などの求人媒体です。広く求人を告知できるのが特徴で、新聞の折り込みチラシなどの紙媒体や求人媒体(サイト)などのWeb媒体などがあります。
合同説明会・就職イベント
複数企業が集まって実施される合同説明会や就職イベントは、企業にとっては学生に直接会って話せる貴重な機会といえます。特に一般での知名度の低い企業にとっては、自社を知らなかった学生にも直接アピールして応募につながる可能性があるため、重要な採用活動として位置づけられています。参加する学生にとっても、効率よく複数の企業に出会えるというメリットがあります。
自社の採用サイト
Webでの採用活動が拡大してきたなかで、採用ツールも採用パンフレットなどの紙でのPRから採用サイトなどのオンライン上でのPRに変わってきています。企業の事業などについて紹介するコーポレートサイトとは別に、採用専用ページを制作するケースも多くあります。
個別会社説明会
正式応募前のステップとして個別の会社説明会を開く企業もあります。個別の会社説明会で自社のことを理解し、応募に進んでもらうことでミスマッチが少なくなることや、応募に躊躇している学生の後押しになります。近年は気軽に参加できるオンラインでの会社説明会も増えています。
新卒採用の採用手法について
共通の採用手法に加え、新卒採用において特に活用される採用手法は、「学校への求人告知」「インターンシップ」「学内セミナー」などです。企業はこれらの採用ツールと自社のWebサイトやSNSなどを複合的に採用活動に取り入れることが増えています。
近年の学生は、興味のある企業や、就職情報サイトや合同説明会を通じて知った企業についてWebサイト・SNS・口コミなどでさらに情報を調べ、多面的に企業の情報を得ようとする傾向があります。このような学生の志向に応えることは、企業の採用活動を成功に導く重要な要因の一つとなっていると考えられます。
学校への求人告知
学校への求人告知は、理系学生へのアプローチとしてよく活用されているものの一つです。学校の就職課やキャリアセンターなどを通じた求人紹介であるため、学生も安心感や信頼を感じやすく、前向きに情報を受け取ることが期待できます。学校との関係性をつくることでより効果的な採用活動ができるといった特徴があります。
インターンシップ
近年、正式応募前に体験型の「インターンシップ制度」を導入する企業も多く、数時間~1日の気軽な体験インターンシップもあれば、数日~数カ月におよぶ実際の仕事に近いインターンシップを導入している企業もあります。自社のことを知ってもらう、職場のリアルを伝えるなどの目的があります。
学内セミナー
学内セミナーは学校主催の企業説明会です。学校が主体となって告知・集客もしてくれるケースが多く、複数の企業が参加する合同説明会形式や個別の企業説明会形式のものもあります。一般的な合同説明会に比べ比較的少人数のアットホームな雰囲気の傾向があります。
中途採用の採用手法について
中途採用の求人募集において特に活用される採用手法は「ハローワークでの募集」「人材紹介」「人材派遣」などですが、中途採用の場合は募集ポジションやポジションの難易度に応じていくつかの手法を組み合わせて活用する企業が多い印象です。
特に採用難が続く近年では、これらの採用企画ができる採用担当が必要なため、経験者を配置したり、経験豊富な採用担当の採用に踏み切ったり、担当の補強が難しい場合は外部に委託するなどして自社の採用力の強化を図る企業が増えている実態もうかがわれます。
ハローワークでの募集
ハローワークを通じた求人募集は従来より定着している採用手法の一つです。無料の職業紹介サービスでもあるため、広くさまざまな企業や幅広い層の求職者がハローワークを活用しています。広く応募が募れる一方でターゲットを絞った募集をしたい場合などは不向きな傾向があります。
人材紹介
「人材紹介サービス」とは一般的に、民間の有料の職業紹介のことを指していることが多いといえます。ハローワークと比較して限定した特定層の登録者のデータベースを有する人材紹介会社も多く、ターゲットを絞って選考をしたい場合などに活用されるケースが多い手法です。
【中途】人材派遣
人材派遣は、直接雇用ではなく「派遣社員」として一定期間従事できる人材を探す際などに活用をされます。経験者をピンポイントで探すというよりも、未経験に近い人材を早く補充したい場合などに有効です。
【2023年】新卒採用のトレンドとは
採用ピッチ資料
採用ピッチとは、短いプレゼンテーションを指す「ピッチ」という言葉から派生したもので、自社の魅力をアピールする短いプレゼンテーションを意味します。採用ピッチ資料とは応募者に向けたアピール資料(自社の説明資料)のことです。
一般的な企業説明資料との違いは、事業内容や業績などについて説明することに主眼がある企業説明資料に対し、採用ピッチ資料は学生が企業理念に共感したり、事業目標に期待感を抱いたりといった、「学生の心理的体験」を生み出すことに主眼がある点です。そのため伝わりやすさや共感を重視し、ストーリー性をもった内容や会社の雰囲気・職場環境などがリアルに伝わる内容を織り込みます。
採用オウンドメディア
オウンドメディアとは自社メディアのことを指し、採用に特化した自社メディアを「採用オウンドメディア」といいます。近年SNSなどを通じて、学生がリアルかつオンタイムの情報を求めるようになったことから、記事やコンテンツを高頻度で更新し、発信するツールとして活用されています。
就職情報サイトなどとは違い、自社の特色を出しやすいのがメリットです。また、企業文化や従業員のリアルな声を伝える発信によって、自社のファンを増やす施策としても活用が広がってきたと考えられます。
ダイレクトリクルーティング
ダイレクトリクルーティングとは、「ほしい人材」に企業からアプローチをしていく手法です。主にSNSや個別スカウトなどを通じて、求職者に個別にアプローチしていきます。もともとは中途採用領域で導入されはじめ、専門職やエグゼクティブ層をヘッドハンティングする手法として知られていました。しかし近年は、新卒採用においても学生からの応募を待つのではなく、企業が直接、採用したいと考える学生にアプローチするダイレクトリクルーティングが注目を集めています。
※ダイレクトリクルーティングについては、こちらもご覧ください。
【2023年】中途採用のトレンドとは
アルムナイ採用
アルムナイとは「卒業生」を意味する言葉で、アルムナイ採用とは退職した元従業員を採用することを指しています。転職が一般的になったことや、採用難が長引くことなどを背景に、自社を退職した従業員との希望が合致すれば、再度採用する流れが起きています。自社を理解しているためミスマッチも少なく、他社で身につけた経験やスキルを還元するといったメリットもあり、アルムナイ採用を取り入れる企業が増えています。
リファラル採用
リファラルとは「推薦」や「紹介」を指す言葉で、リファラル採用とは「従業員紹介」のことを意味します。自社をよく知る従業員が、自社にマッチしそうな知人や友人に自社を紹介することで採用につなげていく手法です。ミスマッチが起きにくく、大きな採用コストがかかりにくいというメリットがあります。著者の周囲でも、新たな人材を紹介してくれた従業員に謝礼を出す制度を導入している企業も少なくありません。
採用ミートアップ
ミートアップとは共通の目的を持つ人たちが交流会形式で集まるイベントのことを意味しており、採用ミートアップとは自社の採用説明会のことを指します。通常の採用説明会は応募してもらうことを目的としていますが、採用ミートアップは応募に直接つなげるというよりも、気軽な雰囲気のなかでの参加者同士の交流、自社の魅力や雰囲気を伝え、共感してもらったり、ファンになってもらうことなどを目的としています。
※中途採用については、こちらもご覧ください。
【人事必見】中途採用とは?採用計画の作成方法、選考・入社までを徹底解説
自社に合う採用手法を選ぶ3つのポイント
募集ポジション・募集人数の整理
採用手法を決定する前に、募集ポジションと募集人数の整理からスタートしましょう。新卒採用であれば募集人数によって、中途採用であれば募集ポジションによってそれぞれ活用するツールが変わります。そのため、募集ポジションと募集人数を社内で取りまとめ、整理していくことがポイントになります。
採用ターゲットを明確にする
最近の採用活動では、広くマス向けに広報をするのではなく、採用ターゲットを明確にして、ターゲットに響くアプローチをしていく傾向があります。
場合によってはポジションごとにペルソナ(採用したい人物像の詳細を定義)を設定するとよいでしょう。そして、採用ターゲットにアプローチを行う適切なツールや採用手法を分析し、検討していくことが大切です。
振り返りをもとに採用手法を見直す
採用活動は毎年行っていくものですが、採用市場の変化や技術の進歩などによって、新しい採用手法が次々と登場してきます。毎年同じ手法で同じような活動をするのではなく、状況に合わせ、より自社に合った方法を選んで採用活動を進めていくことが重要です。
新卒採用においては、年度の振り返りを行い、翌年の採用に向けて採用手法・採用ツールを改善していくことが効果的でしょう。また、中途採用においては、半期ごとに採用状況を確認し、人材紹介会社とともに改善を図っていくことが大切だといえます。
リクルートエージェントでは、約125万2,000名の登録者の中から、自社に適した人材を探すことができます。また、完全成功報酬型であるため初期費用がかからないこともメリットです。さらに無料のスカウトサービスなどさまざまなサービスを利用することができます。自社の採用活動を最適なものにするために、プロの手を借りてみてもよいでしょう。
今回は、新卒採用と中途採用のトレンドに着目し、一般的に活用される採用手法からトレンドの採用手法の紹介と採用手法を選ぶポイントを解説しました。
採用手法は採用市場の動向や学生・求職者の傾向によっても変化をしていきます。最新のトレンドをつかみ自社の採用活動の参考にしていただければと思います。