CS(カスタマーサティスファクション)という言葉をご存知でしょうか?これは顧客がどの程度、サービス・商品に満足しているかを定義する言葉で顧客満足度のことを指します。リクルートマネジメントソリューションズ(※)によると一般的に、CSの高い企業はES(従業員満足度)も高いといわれており、人事もCSの意味や向上させる方法を知っておくとよいでしょう。

CS(カスタマーサティスファクション)とは

CS(カスタマーサティスファクション)とは顧客満足度です。さらにかみ砕くと、顧客満足度とは企業の商品やサービスに対して顧客(お客様)がどの程度満足しているか、その度合いを表すものです。企業が提供している商品・サービスに「顧客が満足しているか否か」は曖昧で個人の価値観などによって変化します。しかし、現在はアンケートなどさまざまな調査により、明確な数字や声となって指標化されるので、企業活動において顧客満足度は無視できません。有名な顧客満足度調査としてあげられるものに、
2006年8月「CSランキング」としてサービスが開始された、「オリコン顧客満足度®調査(※1)」があります。
実際のユーザーを対象に、消費者側にも企業側にも属さない第三者の公平な立場で独自に企画し行われている調査で、さまざまな角度から分析しレポートを発表しています。

※出典:リクルートマネジメントソリューションズ(人材育成・研修・マネジメント用語集)

CSを経営方針に盛り込んだ企業事例

ここでCSをサスティナビリティ方針として経営に盛り込んだ企業の事例をご紹介します。株式会社リクルート(※)ではCS(顧客満足)品質としてのカスタマー対応の考え方や品質向上に向けての方針を打ち出しています。リクルートグループでは商品・サービスを利用する「カスタマー」と、情報を発信したい企業などの「クライアント」の2つの「お客様」が存在しており、リクルートが介在することで、カスタマーとクライアントが最適な形でマッチングし、Win-Winの関係を築けることを目指しています。同ページには以下のように、CS品質としてのカスタマー対応の考え方を示す一節があります。
「リクルートグループが提供する情報は、進学や就業、結婚、出産・育児、住まい、自動車など、カスタマーの人生の選択と意思決定に大きな影響を及ぼします。カスタマーが「その人らしい人生を送るための選択」ができるためには、カスタマー視点に立った質の高い情報を提供することが不可欠です。そのためには、ときにクライアントに働きかけ、正しい市場のルールを創造するなど、つねに情報提供のあるべき姿を模索しています。」
カスタマー対応の考え方として、CSとは企業の商品やサービスをお客様に満足して長く愛着を持って使っていただくために、非常に重要な概念といえるでしょう。

※1出典:「オリコン顧客満足度®調査とは

※2出典:株式会社リクルート「CS(顧客満足)品質」

CS(カスタマーサティスファクション)を向上させるメリット

CSを向上させるメリットはどこにあるのでしょうか。具体的に考えていきます。

リピート率の向上

商品やサービスを買っていただいたときに「この商品を買ってよかった。また買いたい」、「店舗で最高の体験ができたので、必ずまた来店したい」とお客様に対して期待を上回る価値を提供できれば、着実にリピーターになっていただけます。リピーターが増えることで自社に使ってもらえる金額が増え収益の増加に繋がりやすいと考えられます。

新規顧客も増える

お客様が期待している以上の商品やサービスを提供できれば、企業が宣伝をしなくてもお客様自身が口コミやSNSの投稿などで商品・サービスを広めてくれます。その結果「一度買ってみよう」「まずは体験してみよう」という新規のお客様が増えることが予想されます。

採用のアドバンテージになる

CSを向上させることは採用にもより良い影響をもたらします。「評判の良い企業」「満足度の高いサービスを提供している企業」というイメージが定着すれば、「自分も提供する側になりたい」という志望者も増え、採用においてもアドバンテージとなる可能性があります。

CS(カスタマーサティスファクション)を向上させるポイント

それでは、CSを向上させる方法というのはあるのでしょうか。ポイントとなる部分や具体的な施策、気を付けるべき点を見ていきましょう。

まずは現状を知る

CSとは顧客満足度であり、顧客満足度はお客様の期待を上回ることで向上します。ですから、最初にやるべきことは現状を知ることです。現在の商品やサービスでお客様が満足しているのか、いないのか。「思ったよりも満足度が低かった」ということは往々にしてあります。データの分析、アンケートの実施などにより現状の見える化を行い、自社が把握している状態と現実とのギャップを正しく認識する必要があります。

お客様の事前の期待を知る

お客様が自社の商品やサービスにどのような期待をしているのか、ニーズを知る方法としては「インターネットでの検索」「アンケートの活用」「公共機関の統計データ」などがあり、マクロな視点とミクロな視点から商品やサービスの開発・改善に有益な情報を取得すると良いでしょう。

改善や新規開発を行う

上記を踏まえたうえで、お客様の期待を超えるような商品やサービスの改善や開発を行います。これは単に大規模な投資をして質の良いものを提供すれば良いということではありません。たとえば、フライパンを自社で開発しており、お客様アンケートにより「汚れが付かないフライパンが欲しい」というニーズが多かったとしましょう。この場合、最初に思い浮かぶのが「汚れが付かないフライパンを必死に時間を掛けて開発する」となります。しかし、正解はそれだけではないはずです。定期的にフライパンを交換できる定額制のサブスクリプションサービスを提案する、スマホでお手入れ方法が簡単に分かる動画を付けるなど、商品そのものの価値だけではない、満足度の高め方もあります。

ES(従業員満足度)向上に取り組む

人事が一番知りたいポイントはここではないでしょうか。ESとは「Employee Satisfaction」の略称で、従業員の仕事や職場に対する満足感のことです。一般的にはCSとESは密接な関係があるといわれています(※)。そもそも、お客様に提供する商品やサービスを作っているのは「社員」に他なりません。工場の社員がより良い商品を作りたい!営業社員がより良いサービスを提供したい!と思っていなければ、CS向上は絵に描いた餅になってしまいます。なかでも上段でご紹介した新しい付加価値を生むようなアイデアは個々人の裁量が大きい環境の方が社員も意見が言いやすいはずですし、採用されれば自分の意見が認められ嬉しいものです。働きやすさの環境整備はもちろんのこと、社員に裁量を持たせて斬新なアイデアを出してもらうことで、結果的にCSもESも向上することになるでしょう。

※出典:リクルートマネジメントソリューションズ(「材育成・研修・マネジメント用語集」

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