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採用担当者のよくある悩みと解決策
採用活動に際して、採用担当者が直面する悩みとしては以下のようなものがあります。
採用計画が立てられない
採用活動の目的は各部署で不足している人材を採用によって補充することですが、単に人数をそろえるだけの採用計画になってはいないでしょうか。採用計画は各部署の要望を満たすと同時に、経営戦略や企業理念に紐づくものであることが大切です。そうでなければ、集めた人材の価値観や志向が雑多なものになり、組織として成果を出していくことが難しくなるでしょう。
採用計画を立てるには、まず経営戦略をもとに策定された人材戦略を把握し、次に各部門のリーダーとの打ち合わせを実施するとよいでしょう。そこで、なぜ人が足りないのか、どのような人材がいつまでに必要なのか、その人材の人件費は予算に見合っているのかなどを把握し、採用計画としてまとめていきます。募集をはじめてからも各部門のリーダーと情報を都度共有していくことが大切です。
業務量が多い
採用業務は多岐にわたることから、業務量が多いことも採用担当者の悩みの一つです。企業の規模によっては専任者が1~2人しかいない、あるいは他業務との兼任といったケースも珍しくなく、業務過多になりやすいといえます。
このような状況を解消するには、業務の見直しや採用支援ツール等の導入、外部委託の活用などが有効です。たとえば応募者管理業務にツール等を導入することで、業務量の削減だけでなく、ミスやトラブルの減少といった業務の質の向上につなげやすくなる場合があります。採用活動を支援するシステムやツール、サービスには多種多様なものがあります。業務の効率化と採用活動の質の向上という2つの観点から、情報を収集しておくとよいでしょう。
現場が指示を聞いてくれない
事業計画の推進や人手不足解消など、採用について各部署の切迫したニーズがあることも少なくありません。そのため各部署との折衝のなかで、採用部門の事情を汲んでもらえない、条件を譲ってくれないといった声もしばしば耳にします。
このような状況下でも調整を行い、各部門の納得を得るためには、日頃から社内各部署とのコミュニケーションを欠かさないこと、各部署の仕事を知ることがポイントになります。日頃のコミュニケーションのなかで相手が何を考えているのか、どのような言い方をすれば不快に思われないかなどを探っていくことも必要です。各部門の業務を知ることで、「すぐには無理だが、業務がピークを迎える〇月までには補充する」「その業務の経験者が社内から補充できないか調整する」といった、より具体的で有効な妥協案や代替案を提案できるようになります。
このように社内の各部署の業務内容を知ることは、質の高い採用活動を実施するうえでも不可欠です。採用した人材がミスマッチを起こし、結局定着しなかったといった事態を避けるためにも、現場の仕事への理解が重要だからです。
募集に関する採用の悩みと解決策
次に募集に関する採用の悩みと解決策について解説します。
応募者数が少ない
知名度のあまり高くない企業の場合、「求人募集を出しても応募者が少ない」「応募がゼロ」といった悩みを抱えているケースは珍しくありません。人手不足と言われる昨今、売り手市場のために人が集まりにくい状況になっています。
このような場合には、採用ターゲットの見直しに加え、アピールポイントの再考、待遇などの雇用条件の引き上げを検討することも必要です。
見直しがうまく進まない場合は、競合他社の求人と見比べてみましょう。アピールポイントは差別化できているか、自社が言いたいことではなく、求める人材に響くポイントとなっているか、競合他社に比較して給与などの労働条件が適切かなどを確認しましょう。
また求人募集を出す媒体には、集まる人材や業界などにおいてそれぞれ特徴があるため、求人媒体の見直しも有効です。採用支援サービスを活用している場合には、これらのサービスの見直しや導入なども検討していきましょう。
募集(広告)費用が高い
採用部門のコストとしては、募集(広告)に関しての費用があります。昨今では売り手市場のため、なかなか応募が来ないことで費用がかさんでしまう恐れもあります。
このような場合には、募集方法を見直してみましょう。今日では、有料広告以外にもさまざまな方法での募集が可能です。たとえばSNSを人材募集に活用することで、費用削減につながる場合があります。さらに、自社独自の採用ページを作成し、SEO対策を施したうえで募集していくことも可能です。またリファラル採用も手段の一つです。リファラル採用とは、自社の従業員または友人・知人などを通じて人材を紹介してもらうことを指します。ただし、いずれの方法も採用までに時間や工数がかかるため、既存の方法と併用していくことをおすすめ勧めします。
※リファラルに関しては、以下の記事をご参照ください
リファラルとは?<意味がわかる!>採用や営業での活用方法を紹介
選考に関する採用の悩みと解決策
ここでは選考に関する採用の悩みと解決策について解説します。
担当者によって選考基準が異なる
面接や評価を行う際に選考基準があいまいな場合、担当者によって採否の結果が変わってきてしまう恐れがあります。経験の短い担当者の場合、採否の判断が難しいといった事態も起こり得るでしょう。採用に関わる部署・担当者の間で人材要件の共有が不十分であると、結果的にミスマッチにつながる可能性も高まってしまいます。
こうした事態を防ぐためには、選考基準を明確にしておくことが重要です。面接での応対方法、質問内容、評価方法・基準を標準化し、職種によってはSPI試験やクレペリン検査なども実施しましょう。また、募集ポジションの専門性が高い場合、面接には現場の担当者に同席してもらうことを検討すべきでしょう。
選考辞退・内定辞退が多い
応募者も就業に向けてさまざまな活動を行っているため、選考を受ける企業は1社だけとは限りません。応募があった時点で、複数の企業に接触していると考えて対応する必要があります。
企業は応募者を選定しますが、応募者も企業を選定しています。そのため、何よりも大切なのはレスポンスを早くすることです。採用活動に従事してきた著者の体感でも、応募者の状況にもよるものの、より早く対応することで、採用につながる可能性が高いと感じます。
また、これらの対応において、応募者を尊重し礼儀やマナーを守るのはもちろん、応募してくれたことへの感謝の気持ちを忘れないようにしましょう。たとえば、採用担当が応募者に対して上から目線の態度をとったらどうでしょうか。応募者にとっては、それが企業との初めての接触になります。当然よい印象は持たれず、選考辞退につながる原因にもなります。採用担当者は「企業の顔」であるということを忘れてはなりません。
また内定後もコミュニケーションを積極的に取っていくようにしましょう。内定から入社までの期間は、「本当にこの企業でよかったのか」「うまくやっていけるだろうか」など、内定者の不安が大きくなるものです。この時期に何もしないでいると、内定辞退につながりかねません。入社までにフォロー面談を実施するなどしてコミュニケーションを図り、内定者へ安心感を与えていきましょう。
入社後に関する人事の悩みと解決策
ここでは入社後に関する人事の悩みと解決策について解説します。
入社後研修の内容をどのようなものにすればよいか
入社した従業員がスムーズに会社に馴染めるよう、必要に応じてオリエンテーションや研修を実施する必要があります。研修内容は、新卒採用か中途採用かによっても異なるほか、配属する部署によっても変わります。専門的な業務を担当する場合には、しっかり実務研修を行う必要も出てくるかもしれません。
どのような研修を行うかは事前に決定し、準備しておくことが必要です。新卒者に対するマナー研修などは採用部門が内容を決定することが多いものの、実務に関わる事柄は社内各部署と連携して設計する必要があります。
過去に実施してきた研修を踏襲することもありますが、ニーズによっては社外の研修を新たに活用することもあるでしょう。毎年さまざまな研修が新しくリリースされています。これらの企業のサービスを利用するのも一案です。
入社後すぐの退職がある
新卒採用、中途採用に関わらず、入社直後は慣れない職場環境に対してストレスを感じやすいものです。そのようななかで、入社直後に退職という選択をする人も少なからずいるでしょう。原因としては、職場に馴染むまでのフォローが不足していることが考えられます。 自社として歓迎会を催すなど、自部署はもちろん、他部署とも交流できるような場を提供することも有効です。このような環境作りによって「自社全体で新しい人材を迎え入れる」といった企業風土を醸成していくことが大切です。
フォローの方法は人によって変化させる必要はありますが、一定の対応基準を社内で作っておきましょう。たとえば、社内での相談窓口を設置する、外部のキャリアコンサルタントなどを配置して相談しやすい環境を整備するなども有効です。
採用にかかわるコストは安いものではありません。そのコストを最大限に活かしていくためにも、早期の退職者をなくし、定着化を促すフォロー体制を確立していくことが重要です。
今回は採用業務に関する悩みとその解決策について解説しました。売り手市場と言われる昨今ですが、自社の成長に採用活動は欠かすことができません。いつの時代も、よい人材を少ないコスト・工数で採用することが求められるものです。よりよい採用活動を行うためには、従来からの採用手法にこだわらずさまざまな手法を取り入れていくことも必要です。
同時に業務の効率化も忘れてはなりません。AIなどの技術発達も目覚ましい現代、HRテックを積極的に取り入れていくことで、工数削減と同時に採用活動の質を向上させることが可能です。常に最新の情報をチェックし、他社の動向なども参考にしながら動いていくことが近道かもしれません。