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採用の目的とは?
より良い採用を行うためには、まず採用の目的を明確にする必要があります。よくあるのが「営業を1名増員したい」というもの。これでは何のための採用かわからないため、どんな人材が必要なのかがわかりません。採用というのは基本、何らかの課題解決の手段です。「欠員で業務に支障が出ている」というものから、「新規事業を始めたいが、担える人材がいない」「組織のパフォーマンスに問題がある」「マネジメント候補を育てる必要がある」などさまざまな課題があります。課題を明確に認識することで、「新規事業の立ち上げのため、即戦力となる営業人材を増員する必要がある」といった採用の目的も見えてきます。
新卒採用の場合も同様です。もちろん「安定的・定期的な人員確保」「人員バランスの最適化」も目的の一つですが、それだけはありません。「組織の活性化」「将来のリーダー人材の獲得」を目的とした場合、現状の組織課題を的確に捉えなければ、求める人材を設定できません。
人材とは企業にとっての経営資源であり、採用は大きな投資です。採用コストはもちろん、生涯賃金(大学・大学院卒、フルタイムで正社員を続けた場合)で考えると、男性で約2.7億円、女性で約2.2億円(※)にもなります。課題と目的を明確にした、戦略的な採用を行っていくことが重要となります。
出典:独立行政法人労働政策研究・研修機構「ユースフル労働統計2019-労働統計加工指標集-」
求める人材を明確にすることが重要
企業にとっての課題と採用の目的が明確になったら、次は「どんな人材を採用すべきか」を具体的にイメージしていく必要があります。まずは人材要件を明確にします。求める経験・スキル・資格など、「MUST(必要条件)」「WANT(十分条件)」で整理します。その際に重要なのは、できるだけ最小限の要素に絞ることです。たくさんの要素を同時に満たす人材要件を設定してしまうと、対象者が限定され、「そんな人は世の中に存在しない」ということにもなりかねません。
さらに長く活躍してもらう上で重要となるのが人物面です。わかりやすくいうと性格や志向性、仕事への姿勢や考え方。どんな方なら「企業理念やビジョンに共感できるか」「社風に馴染めるか」「配属組織や同僚とうまくやっていけそうか」なども考慮しながら、人物像を設計していきます。
また、人事や現場社員の面接では良い評価だった応募者が、社長の最終面接では評価が低く、採用に至らないというのもよくあるケースです。選考や入社後のミスマッチを防ぐためにも、事前に採用担当者・現場・経営層の間で採用基準について、すり合わせておくことも重要です。
採用を行う前に考えること
新しい人材を迎えることは、会社や組織にとって大きな影響があります。採用にあたっては手間と時間とコストがかかりますし、どんな人を採用するかで社内の雰囲気や事業の方向性も変わってきます。
また、入社者にとって採用とは、その企業でのスタート地点です。入社後に定着し、活躍できてこそ、本当の採用成功です。会社として受け入れ準備はできているのか。もし、早期離職につながれば、双方にとって不幸なことになってしまいます。今一度、採用活動が本当に必要なのかを検討してみてください。その上で、必要と判断したら、採用だけでなく、入社後まで見据えて準備をすることが重要です。
新卒採用と中途採用の基本
まず、新卒採用と中途採用の定義について簡単にご説明します。新卒採用とは、その年に学校を卒業予定見込みの学生を採用することです。基本的には在学中の卒業予定者に対して企業が求人を行い、卒業と同時に入社をします。
一方で中途採用とは、既に就業経験を積んだ人材を採用することを指します。採用対象となる方は、経験の浅いポテンシャル層から即戦力まで幅広く存在します。また採用目的も、欠員などによるピンポイント採用から事業拡大などによる大規模採用までさまざまです。
卒業後3年以内の既卒者は一般的に「第二新卒」と呼ばれる事が多く、分類としては中途採用になりますが、企業によっては新卒採用の扱いとし、新卒同様の基準や目的で採用する企業もあります。
新卒採用と中途採用の違い
新卒採用と中途採用の違いをまとめました。
採用対象は、新卒採用は学生、中途採用は社会人経験のある方。そのため採用基準は、新卒はポテンシャルを重視、中途採用は経験スキルを重視するケースが多いです。
採用時期にも違いがあり、新卒採用は半年〜1年半かけて長期的に採用活動を行い、学校の卒業に合わせた4月に一括入社するのが一般的です。一方で中途採用は、企業の採用ニーズに合わせて不定期に実施するか、採用の難易度や募集人数などにより通年採用を行います。
採用手段も異なり、新卒採用は多くの学生に訴求できる求人媒体(求人メディア)や合同説明会が中心ですが、昨今ではインターンシップやソーシャルリクルーティングを活用する企業も増えています。中途採用は、求人媒体や人材紹介サービス、リファラル採用(社員紹介)、ハローワークなどさまざまな手法があり、採用難易度や採用ターゲットによって使い分けているケースが多いです。
新卒採用と中途採用のメリット・デメリット
新卒採用者の特徴は、社会人経験ゼロからのスタートであることです。育成に時間がかかるというマイナス面もありますが、一方でまっさらな状態から自社の考え、やり方を吸収していくため、「企業文化を継承していく人材になれる」「将来の幹部候補として育てやすい」というメリットがあります。フォロー期間は長く、大学3年生のインターンシップ期間から考えると1年半にも及びます。手間も時間もかかるものの、一括で大量採用をすることが可能です。
中途採用者の特徴は、既にビジネス経験を積んでいることです。育成期間やコストがかからず、即戦力として入社後すぐに業績を上げてくれたり、自社にないスキル・ノウハウを発揮してもらったりすることができます。一方で既に他社を経験している分、自社のやり方や風土に馴染めず、次の転職をしてしまうケースもあります。採用活動においては、いつでも自社の都合のいい時に募集し、短期間での採用を目指すことも可能です。
まとめ
採用は、企業の成長を左右する重要なものです。入社者にとっても自身の未来が変わる重要な決断です。双方にとって満足度の高い採用を実現していくためにも、単に人手不足や欠員補充というだけでなく、新たな人材を迎え入れることで会社としてどんな未来を描いていきたいのか、ぜひ考えてみていただければと思います。
人材獲得の方法には、主に新卒採用と中途採用がありますが、それぞれにメリットとデメリットが存在します。ぜひ採用の目的や求める人材を整理することから始め、自社の今回の採用にとってベストな手法を探していってください。