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採用サイト・ホームページとは
採用サイト・ホームページとは、採用情報に特化した自社運営のページ・サイトのことです。「リクナビ」「リクナビNEXT」や「タウンワーク」など、人材サービス会社が運営する求人媒体(ペイドメディア)との対比として、採用サイト・ホームページは「採用オウンドメディア」とも呼ばれています。
企業サイトと採用サイトの違い
自社で管理・運営するページ・サイトという意味では、すでに企業サイト(コーポレートサイト/企業ホームページ)が存在する場合も多いでしょう。「なぜ新たに採用ページ・サイトをつくるのか?」と必要性を疑問に思われるかもしれません。しかし、企業サイトと採用サイトでは情報を伝える相手や目的が異なります。
企業サイトを訪れるのは、求職者だけではなく顧客や株主、取引先など幅広い相手になります。「企業の信頼性」や「事業・サービス内容の良さ」を伝えることで自社への理解を促し、相手との関係強化につなげることが目的です。
一方で採用サイトの場合は、求職者に向けた情報提供が目的になります。「仕事内容・職場環境・待遇・キャリア」など求職者が求めている情報を掲載してPRします。企業サイトで紹介しているような「企業の信頼性」や「事業・サービス内容の良さ」についても、求職者にとってのメリットに言い換えて、応募を喚起します。
情報を届ける相手が異なるので、相手にとって必要な情報を分かりやすく伝えるために、求職者専用の採用ページ・サイトを制作している企業が多いのです。
採用サイト・ホームページをつくる5つのメリット
1.採用コストの最適化につながる
採用サイト・ホームページに直接応募・問い合わせがあった場合は、求人媒体(メディア)を利用するときのような費用がかかりません。もちろん、どのような採用サイト・ホームページをつくるかによって初期費用やランニングコストは変動しますが、求人媒体のように掲載期間が決まっているものではありませんので、長期的な視点で採用コストを低減できる効果が見込めます。
2.外部サービスのルールに縛られないため、自由度が高い
求人媒体に情報を掲載する場合、レイアウトや記載する項目がルールで決まっており、掲載サイズ(掲載料金)によって文字数や画像の点数に上限が設けられている場合がほとんどです。採用サイト・ホームページは、自社で運営・管理するからこその自由度の高さがメリットの一つです。求人媒体では伝えきれなかった情報を採用サイト・ホームページ上で紹介するといった使い方もできますし、自社の魅力がより伝わるように、「動画のコンテンツを埋め込む」「イラストや図を多用する」などの工夫を凝らすこともできます。
3.求人媒体との相乗効果
厚生労働省がおこなった令和2年転職者実態調査では、転職の活動方法として「求人サイト・求人情報専門誌・新聞・チラシなど」が39.4%と最も高く、「企業のホームページ」の15.1%とあわせると半数を占めることになります。
出典:厚生労働省「令和2年転職者実態調査」
また、リクルートが行った調査(アルバイト・パートの求人)では、求職者の半数以上が求人媒体経由で応募しており、そのうち約8割の人が企業ホームページを閲覧、うち約6割は応募意欲が高まったと回答しています。
出典: 株式会社リクルート 「採用HP作成&応募管理ツール「ジョブオプLite」新機能追加」(2019年6月6日)
つまり、求人媒体の効果を高める意味でも、企業の採用サイト・ホームページを充実させ、より多くの情報を提供することが重要です。
4.求人媒体とは異なる層にもアプローチできる
採用サイト・ホームページのコンテンツを充実させると、GoogleやYahoo! のような検索エンジンで自社サイトが上位表示される可能性が高まります。結果として、求人媒体を積極的に閲覧している顕在層だけでなく、就職・転職を意識していなかった層にも求人募集していることを伝えられます。採用サイト・ホームページは、より幅広い層に自社の求人を認知してもらう役割を担っています。
5.情報を管理しやすい
仕事内容や人材要件、給与・待遇などの求人情報は職種やポジション、時期によって変化するものです。求人媒体、ダイレクトリクルーティングなど、外部のサービスを併用しているときに意外と大変なのが、情報の更新が煩雑になってしまうことがあります。どれが最新で正しい情報なのか混乱してしまう状態を防ぐためにも、自社が運営しているオウンドメディアを一番信頼できる情報ソースとして、外部パートナーと情報共有していく使い方もできます。
採用サイト・ホームページをつくる流れとは?
採用ターゲットを明確にする
先述のとおり、採用の背景や目的をきちんと確認し、全体像を把握することがすべての出発点です。特に意識したいのは、自社が求める人物像(採用ターゲット)はどのような人なのかという点です。ターゲットが明確であるほど、彼らの興味に合わせたデザインやコンテンツをつくることができます。
採用ターゲットを明確化する方法については、以下を参考にしてみてください。
【採用基準のつくり方】最適な人材を見極めるための基準作り・ポイント・注意点を紹介
サイトに必要なコンテンツを整理する
求職者は、就職先を検討する際にさまざまな側面から情報を求めています。たとえば、「企業概要」「事業戦略」「サービス内容」「仕事情報」「働く環境」「待遇・福利厚生」などです。また、会社(採用担当者)からのメッセージだけではなく、経営層の考え方や先輩社員のエピソードなど、複数の立場からの意見を求めています。そのため、採用サイト・ホームページのコンテンツは、「広く」「漏れなく」を目指すのがポイントです。訴求する情報を整理するためにもコンテンツの一覧を洗い出し、サイトのページ構成をつくってみましょう。
<基本的なページ構成>
- 採用サイトTOPページ
- 採用メッセージ(経営者or人事責任者)
- 会社を知る
- 仕事を知る
- 社員を知る(先輩社員の声)
- 福利厚生・働く環境
- 応募要項・選考プロセス・FAQ
- 応募・問い合わせフォーム
採用コンセプトを決める
コンテンツの全体感を整理する一方で、採用で一番伝えたいこと(採用コンセプト)を決めることも非常に重要です。中でもサイトの顔となる「TOPページ」は、全体のコンセプトを表現する上で重要なポイントとなります。
求職者は、幅広い情報を求めている一方で、判断基準や優先事項は採用ターゲットによって異なります。「グローバルな環境で働きたい」「ワークライフバランスは欠かせない」「地域に根差したビジネスで貢献したい」「安定した会社で長く働き続けたい」など、想定するターゲットの判断軸にあわせて、デザインや文章、キャッチコピーをつくっていきましょう。
情報を集める
サイト全体の仕様が決まり、コンセプトも確定できたら、実際のコンテンツを制作するために必要な情報を収集します。前述したページ構成例を見ればわかるとおり、採用サイト・ホームページのコンテンツを充実させようとすれば、採用担当者の手元にある情報だけでは足りないことが多いです。経営者や先輩社員へのインタビュー(もしくは執筆依頼)、働く様子や社内風景の撮影、事業・サービスを分かりやすく説明する図の制作など、必要な素材を手配・収集しましょう。
サイトを構築する
収集、作成した素材を使って、サイトの構築を行っていきます。進め方としては、次の方法があります。
- 社外に外注する
- 社内で対応する
- 社外と内製の組み合わせで行うなど
自社の状況(予算や納期、どこまで依頼したいかなど)を踏まえて手段を選択しましょう。
採用サイト・ホームページの制作方法
採用サイト・ホームページの制作方法について、一例を挙げて解説します。
社外に外注する
まず制作方法として挙げられるのは、Webサイト制作の専門会社や社外の専門家などに外注する方法です。
サイトのデザインやコンテンツ内容を充実させやすく、主に技術面での手間やトラブルが少なくなる点がメリットとして挙げられます。一方、外注先との意思疎通がうまくいかずに、イメージしたようなサイトに仕上がらないなどの懸念や比較的高額な費用がかかることも、デメリットの一つとして挙げられます。
採用サイトを外注する際には、サイトの方向性や概略のデザインなどは業者に丸投げせずに、自社なりのイメージを持った上で、十分な打ち合わせをして進めることが必要です。
サイトの具体的な制作では、すべてをオーダーメイドで作成する方法と、制作会社がすでに用意しているテンプレートを利用する方法の2つがあります。
テンプレートを利用すると、比較的短期間で手軽につくることができ、オーダーメイドで作成するよりは費用を抑えることができます。しかし、ある程度の形が決まっているため、デザインやコンテンツ設置に関する制限があったり、他社との差別化がしにくかったりすることがあり得ます。
一方、オーダーメイドで作成すれば、このあたりの問題はなくなりますが、相応の時間と手間がかかり、アレンジの内容次第で費用も高くなっていく場合があります。
社内で対応する
専門スキルを持った社員がいたり、社内でサイト制作ができる状況が整っていたりする場合は、採用サイトを自社で内製する方法があります。
サイトの内容を柔軟に作り込むことができ、修正や変更などもすぐに対応できて、制作費用も抑えることができます。
ただし、採用サイトはそのときの状況に応じて維持管理や更新をする必要があり、その度に社員の手間や時間を割く必要があります。
社内体制やコストパフォーマンスなどを考慮した上で、社内で対応する部分と社外に依頼する部分の切り分けが必要になることもあり得るでしょう。
採用サイト・ホームページで求職者が求めるコンテンツとは
リクルートの研究機関が、学生の就職活動および企業の採用活動について行った調査によれば、「知りたいと思っていた情報」と「知ることができた情報」のギャップが大きかった上位5つの項目は、次のとおりです。
- 社内の人間関係
- 採用選考の基準
- 所定外労働時間(残業など)の実績
- 具体的な仕事内容
- 社風・企業文化
これらは求職者からのニーズが高いにもかかわらず、提供されている情報への満足度が低い項目と見ることができます。
※上位10項目を抜粋
また、これらの項目について「情報提供をしている」と答えた企業の割合は、「具体的な仕事内容」が約9割、「社風・企業文化」が約8割、「所定外労働時間(残業など)の実績」が約7割、「社内の人間関係」が約6割、「採用選考の基準」が約4割となっており、多くの企業が情報提供をしている項目であっても、求職者からは必ずしも理解されていない状況が見られます。伝えているつもりなのに伝わっていないという状況は、問題としてとらえる必要があるでしょう。
この調査結果でも、求職者が「知りたいと思っていた情報」の項目は多岐に渡っており、できるだけ多くの企業情報を得たいと考えている様子が推察されます。
採用サイトを有効活用するためには、求職者が情報収集を行う際に知りたいと思っている内容を網羅できるように、各種調査データや応募者からの意見などを参考に、掲載する情報を精査して、求職者の情報理解度と満足度を高めることが必要と考えられます。
※出典:株式会社リクルート 就職みらい研究所 「就職白書2022」(2022年2月21日)
応募が増える魅力的な採用サイト・ホームページのポイント
求職者の視点に立ってつくられている
採用サイト・ホームページは、自社の裁量で自由に制作できるという性質のため、一方的な情報発信になってしまう可能性に留意しましょう。採用は企業と求職者のお見合いのようなもの。自分がしたい話だけをしても相手は振り向いてくれません。求職者はどのような情報を知りたがっているかを想像し、初めて自社を知るという人にも分かりやすく伝わる内容にしましょう。
また、サイトの使いやすさやコンテンツの読みやすさといった、ユーザビリティも考慮しなければ、せっかくサイトを訪問した人も、情報を得られないまま途中で離脱してしまうことがあり得ます。制作するすべての内容において、求職者視点を忘れないようにしましょう。
ネガティブな情報も隠さず前向きに伝えている
求職者視点という意味では、実態を正しく、正直に伝えることも大切なポイントです。たとえば「給与は高いけれど仕事がハード」といった場合に、「給与が高い」と都合の良いことばかりをアピールしても、入社後にギャップを感じて退職につながってしまうことや、何か裏があるような印象を与えてしまいかえって敬遠される可能性もあります。今はSNSや口コミサイトなどさまざまなところから情報を得る求職者も増えており、ネガティブな情報は隠しても伝わってしまうことがあると考えたほうが賢明でしょう。自社の弱みも正直に伝えようとする真摯な姿勢は、かえって求職者に信頼されやすく、入社後のミスマッチも低減できる場合があります。
さまざまなビジュアルを活用して視覚的にもわかりやすい
採用サイト・ホームページで伝える必要がある情報としては、職場の雰囲気や風景、仕事内容や人間関係の様子、経営者や先輩たちの人柄など、文章だけでは伝えにくいものが数多くあります。ここで自社サイトという自由度を活かして、図や写真、動画をはじめとしたさまざまなビジュアルを使って表現することで、見ている人に対してより多くの情報を伝えることができ、視覚による直感的な理解など、情報の量と質を高める効果が期待できます。また、見た目のきれいさやデザイン性は、見る人に対してより良い企業イメージを与えることが期待できます。
Web閲覧では、ページの一言一句をじっくり読んでいる時間がないことも考えられ、そのスピード感に合わせる意味でも、ビジュアルを活用することは重要なポイントになります。
採用サイト・ホームページは、昨今の採用活動での情報発信においては欠かせないツールとなっており、その記事やデザインなどの内容次第で、求職者の目に留まりやすくなったり、実際の応募につながったりする効果を期待できるでしょう。
求職者に興味を持ってもらい、応募したいと思われるように、紹介したポイントを押さえた採用サイト・ホームページの作成を行っていきましょう。