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採用戦略におけるKPI・KGIとは
採用戦略におけるKPIとは、採用を成功に導くための定量的な指標のことです。
そもそもKPIは「Key Performance Indicator」の略語であり、日本語では「重要業績評価指標」という意味です。例えば、営業組織では、売上目標とは別に訪問件数や商談件数、新規受注件数などの目標が設定されていることがよくありますが、これらもKPIのひとつです。訪問件数や商談件数が順調であれば、連動して売上も目標に近づいていくと考えられているため、KPIとして設定されることが多くあります。逆にKPIの進捗が良くないと、このままでは売上目標の達成が難しいことが見えてきます。
つまり、KPIとは、最終目標を実現するための中間目標のようなもの。採用にあてはめて考えると、「人材を採用する(入社)」という最終目標を達成するための中間指標ですから、面接数や書類合格数、応募数などが代表的な採用KPIになります。
ちなみに、KPIと似た言葉としてKGIも使われますが、こちらは「Key Goal Indicator=重要目標達成指標」という意味。Goal、つまり最終目標ですから、KPIはKGIを達成するための指標という関係性にあり、採用KGIとは一般的に「いつまでに・どのような人を・何名採用するか」という採用目標を指します。
採用活動でKPIを設定する効果
採用計画の精度が高まる
例えば、「応募→書類選考→人事面接→役員面接→内定・入社」といった採用プロセスを設計したとします。このときに「応募獲得30名以上」「人事面接通過5名以上」といったKPIを設定することで、KPIを達成するためにはどのような採用手法・選考内容にすべきかと、個別に切り分けて最適解を考えることができます。
採用活動が“見える化”しやすい
採用活動を行っているなかで、「応募も選考も途中まで順調だったのに、なぜか上手くいかなかった」という経験はないでしょうか。上手くいかなかった原因を突き止めて改善するためには、活動全体を正確に把握することが大切です。KPIは定量数値を設定することが多く、書類の合格率、面接の辞退率など活動全体の状態を客観的に表し、把握することができます。
関係者それぞれの役割が明確になる
採用活動は採用担当者だけの仕事ではなく、面接担当者や外部の協力会社など、さまざまな関係者が存在し、それぞれの役割を担っていることがほとんどです。KPIを設けていれば、各プロセスを担当する人の役割や責任の範囲が明確になり、KPIの達成に向けて主体的に動いてもらいやすくなります。
採用のKPI・KGIを設定する方法
KGIからはじめる
先述した通り、KPIはKGIを達成するための中間指標です。そのため、KPI・KGIの設定はKGIからはじめるのが原理原則です。KGIは採用目標そのものです。採用戦略・計画を立てる際に掲げた目標、例えば「半年以内に営業職を5名採用する」などをKGIに設定しましょう。
ゴールから逆算する
KGIが決まったら、選考プロセスをさかのぼって各プロセスの目標となる中間指標=KPIを設定していきます。「5名以上内定を出すのであれば、最終面接は10名実施する」「前回の書類合格率をあてはめると、最低でも55名の応募は獲得したい」といった考え方です。
過去の実績があれば、一旦その数値を仮置きした上で、「人材要件が変わった」「採用市場が売り手から買い手に変わった」などの変動要素を加味しながら調整すると良いでしょう。
採用戦略でKPIを設定するときのポイント
目標数値に無理があれば、採用プロセスや手法を見直す
KPIを設定すると、「応募が1,000名必要だとわかったけれど、今の予算と納期では実現が難しい」など、採用活動の矛盾や無理を事前に発見する手助けにもなります。「今回はどうしても採用人数を優先したいので、人材要件を見直して面接合格率を上げよう」「他の募集手段も検討して応募数を担保しよう」と計画を見直していきましょう。
ただし、KPIの数字が達成困難だからといって、いたずらに数字を変更すると、ただの “数字合わせ”をしているだけになってしまい、採用の本来の目的からズレていく危険性もあります。何のための採用なのかに立ち戻って検討しましょう。
候補者の“質”の目標を疎かにしないケアが必要
例えば、書類選考の担当者に書類合格数がミッションとして課されていたとします。もし自分の目標達成がこのままでは難しいとわかったら、候補者の基準を緩めることで、合格数を増やすかもしれません。
臨機応変に採用活動を変化させることは必ずしも悪いことではありませんが、数字に翻弄されすぎるのも禁物です。KPIは定量目標なので、客観性やわかりやすさのメリットが大きい反面、数を追い求めすぎて選考基準が緩くなってしまう可能性があります。こうした意味でも設定した指標の妥当性を検証することや、KPIとは別に定性目標を設定して注視することが大切です。
採用でKPIを運用し改善する方法
今回の採用において最も重要な指標を見極め、追いかける
各プロセスで設定した指標をすべて厳密にチェックし続けるのは、それなりに工数が掛かりますし、順調なプロセスを徹底的に管理しても、採用の成果にはあまり結びつかないことが多くあります。それよりも、自社の採用戦略にとって重視した方が良いポイントや、自社が苦手とするプロセスをKPIとしてチェックすることの方が効果につながりやすいです。
<状況に合わせた採用KPI設定の例>
- 面接担当者によって人材の見極めがバラバラで、採用の数が不安定
→面接通過人数をKPIに設定し、面接担当者ごとに管理する
- 10月の新店オープンまでに10名のホールスタッフを採用したい
→応募数をKPIに設定し、求人媒体や人材紹介の担当者と目標を設定する
定期的な振り返りでPDCAを高速にまわす
せっかくKPIを設定しても、活動がすべて終わってから評価するのでは、次回以降の採用には活かせても、今回の採用には効果がありません。だからこそ、採用活動中に定期的にKPIの進捗状況(達成率)をチェックして、どこに問題が起きているのか、何が原因か、解消のために何をすべきかを検討し、実行に移すことが大切です。できれば週次で進捗を確認しながら、対策が必要であれば素早く解決策を打つようにしましょう。
<現状の課題> 応募数が多い一方で、書類合格率が低い。主な応募層が採用ターゲットからズレている可能性がある。 <今後に向けて> ①人材紹介や求人媒体での訴求ポイントを見直し、採用ターゲットに求人の魅力が伝わる内容に改善する。 ②書類選考担当者のジャッジ基準を確認(厳しすぎないか)
特に中途採用の場合、求職者も競合他社も、それぞれのスケジュールで動いており、スピードが成否を分ける側面があります。今の状況を正しく把握し、素早く対応する上でも、KPIを軸にした高速PDCAを意識しましょう。
採用管理業務の効率化が肝になる
振り返りのスピード・回数を上げるためには、採用活動の状況をいかに素早く取りまとめて採用活動関係者に共有できるかが重要です。そのため、KPIの運用において重要なのは、採用活動の進捗データの管理方法です。手作業での集計や、データが複数に点在して取りまとめが必要な状態では、どうしてもミスが発生したり報告に時間がかかったりと、KPIマネジメントの障壁になってしまいます。
そこで最近では採用管理業務を支援してくれるシステム・サービスを活用する企業も増えてきました。人材紹介サービスや求人媒体からの応募者を一括で取り込んで管理してくれるサービスや、選考結果も含めた応募者データを一元管理してくれる機能、選考進捗のレポートを簡単な操作で出力できる機能などもあります。テクノロジーを上手く活用しながら採用管理業務を効率化することは、KPIマネジメントの質を高めることにもつながるはずです。
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